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映画「ちはやふる」が波及する、無限未来へと結びゆく情熱。

公開日に観てきました。「ちはやふる -結び-」。

まだあまり整理がついていない部分が多々あるものの、最高に良かったのでちょっと書きたいと思います。

(ネタバレはないように努めます。)

(観てからの興奮がすごくて、色んなところで布教活動をしまくっているので、そろそろあいつうざいなと思われてもおかしくはないはず。)

あらすじはこちらにて。

待望の新入部員獲得に向けて奮闘する千早、名人を目指す新に立ちはだかる絶対的な壁、そして突然かるた部を辞めてしまった太一。かるたが繋いだ3人の幼なじみの運命が、今、それぞれの未来に向かって動き出す―。果たして、全国大会の行方は?(Filmarksより)

上の句・下の句の公開はもう2年前なんですね。なんだか待ち遠しすぎてあっという間だったな…。

前作では初々しかった千早たちも、今回は高校3年ということで、ちょうどその間が2年っていうのもいい。

前作分は下記に書いていたのでよろしければ。
ありがとう、目黒シネマさん。

改めて思うのは、「上の句・下の句」の完成度の高さを前提に、それを上回る作品になっていることの凄さ。

下記のことばたちが“前作を上回ることへのハードルの高さ”を物語っていますね。

「フルマラソンを全力で走りきった監督に、もう一度最初から走ってくれと言うようなものでした(北島プロデューサー)」

「すでに終わっているエピソードではなく、先生から直接今後の展開を少しお聞きして、そこから”こうなっていけばいいな”という希望や予想も含めたストーリーを脚本に入れ込んでいったんです。リアルタイムで”予想と全然違った!”と慌てて書き直すこともありましたし、”予想していた通りだ!”と喜ぶ時も。そんな一喜一憂を繰り返しつつ、最初から脚本をひっくり返すこともありました(小泉監督)」

原作とは異なる部分もすごくよかったです。新キャラと団体戦の決勝の部分ですね。(ネタバレになって言えないのが苦しいので、誰か話しましょう….)

今回、小泉監督が原作者の末次先生に提案したところ、驚きつつも快諾だったとのこと。


「上の句」で新からもらった情熱が、千早によって部に波及し、「下の句」ではその情熱によってふたたび新に波及する。

そして今回は後輩へとその情熱が“結び”継がれていく…という流れがとってもきれい。

前作までは「幼馴染や部員のみんなとつながっていく」ことがかるただった千早、ただ今作では後世へとつなげていくことを意識し始めるんですね。(ラスト最高でした…)

その意味合いにおいて、今作に“結び”というサブタイトルを付けたプロデューサーの皆さま、本当にあっぱれです。

その意味が結末、完結であることはさることながら、結束、団結であり、千早の灯した情熱を結び、周りへと波及し、繋げていくことでもあり…

またその点、団体戦で千早たち瑞沢高校の面々が、藍色の結び紐を着物の上から結ぶシーン。この作品の象徴だったと思います。



また、上記意味とかかってくる「百人一首」という競技自体の意味合い。

約一千年前の歌人が和歌というフォーマットに乗せて詠んだ思いが、今なお“結び”継がれていく。

極端な言い方をしてしまうと、恋心といった重たいテーマを、和歌というライトなフォーマットに乗せることでアソビに変えていたんですね。

この「ちはやふる」という作品自体、青春・恋愛といった同様のテーマを競技かるた、そしてマンガ・映画というフォーマットに乗せて表している。

そして、歌人たちが千年前に込めた情熱同様、この作品も後世に伝って結ばれ、波及していく。それこそ十年先、百年先、千年先にも…。

つまりは、彼らの情熱、青春、百人一首、そしてこの作品自体も、全ては“結び”継がれていくんですね。「無限未来」へと。


って、いきなり出てきたキーワードなんですが、本作の主題歌タイトルです。「無限未来」。

もはや、Perfume先生が主題歌を提供している時点でもう最高ですよね。

(だって、映画館の素晴らしい音響で聴けること自体幸せですし)(すみません脱線しましたね)

(やっぱりイケてる作品にはイケてる主題歌がきますね。個人的にマンガ原作で唯一面白かったアクション映画の「るろうに剣心」も、やっぱりイケてた。)(ワンオクですね)


これは、未来は無限の可能性があるよ。ということを訴えてもいるんだろうなーと。

例えば、本作でフィーチャーされる太一のかるたへの向き合い方。

大学受験を控え、好意を寄せる千早のためにボロボロになりながら努力してきた意味に迷う。

ただ、チャンスはドアノブがなく、自分で開くことはできない、誰かが開けてくれた時に準備できるかで変わるのだと。

悔しさしか残らないなんてことはなく、その手の感触は一生残る。

その一瞬一瞬にかけられるかによって未来が無限に広がっていく…。そして決断した太一。(詳しくは劇場で)


そんなことを考えながら、エンディングテーマが流れてきた時の鳥肌。

あの感動はこれからも生涯忘れられないような気がしています。

また上記を踏まえ、「この映画こそが百人一首になるよ」という広告コピーになりうる名言を残した友人すごいなと思いました。

彼もこのサイト上に本作に関する記事を書くはずなので、よろしければ読んでみてください。

(公開初日に3回の鑑賞を果たしたなかなかのツワモノなので)

(いやードMすぎる)(ただ、そこまで熱量がかけられるの純粋にすごいなと一周回って尊敬しましたって話はまた今度)

って、そんなことを考えつつ彼のFilmarksを読んだら、もう既に熱いことを書いているので、気になった方はぜひに。

(結構核心をついているので、見終えてからの方が良いかもしれません)(これ以上何を書くの…?笑)

>> ちはやふる ー結びーのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価


また演者の成長を見届けられるところも、この作品のよさです。

前作(2年前)、主演の広瀬すずは実際に高校生だったんですね。今回改めて観ると少し大人っぽくなったなーと。

瑞沢メンバーを中心に、一人残らずその成長が見れるところがファンとしてはたまらない。

にしても、やはり太一の成長っぷり。すごいです。

自ら運を手繰り寄せる(運命戦に負けない)男になったんですね(詳しくは本編にて)。

史上最強に共感できるイケメンですね。太一は本当に。

個人的には、賀来賢人が演じた「周防久志」がちょっとかっこよすぎてしびれました。

あのいい感じに枯れてる佇まい、同性から見てもイケメンすぎたので、女性から見たらやばいのではないでしょうか…。(太一も勿論かっこいいんですが)

松岡茉優はいつも通り流石でした。(「勝手にふるえてろ」も素晴らしかったので、いつか書きます)

あと、花野ちゃんを演じた優希美青っていう女優さん、ところどころ泉里香にめっちゃ似てたなーーー。美人。


また、この作品は「音」にも注目してほしいです。

そもそも主題歌にPerfumeを起用しているのがもう本当にイケてるんですが、映像のみでは感じ得ない独特の“瑞々しさ”は、この音響ありきなんですよね。

コミカルなシーンの音なども特徴的で、今回、新入生の筑波が千早のかるた魂に火をつけるシーンではヘビメタが流れるんですが、そのデスボイスは音楽担当の横山さんが実際に出しているそう。(その後3日間ノドを潰したとか)


と、様々を綴りましたが、こんなに純度が高くて瑞々しい青春映画、生涯あと何本出会えるかわからないな…。と少し残念な気持ちになるくらいによかったです。

ステキな作品に出会えて本当によかった…。

プロモーションが大げさかな?と思っていましたが、本作であれば確かに青春映画の金字塔という名にふさわしいかと。

まぁとはいえ、自分のようにきちんと青春してこなかった層に刺さりまくるんでしょうけどね。

“あんな青春してみたかった…けど、もう戻れないから仕方ない”と諦めてた部分が凄まじく抉られる。

(なので、そもそもがリア充な方にはもしかしたら刺さらないかも?しれません)(そんなことはないか)


完全ノーマークで観た作品でしたが、こんなにドはまりして熱くなれるとは思ってもみませんでした。

思わず生涯かけて大切にしていきたい作品になりましたね。

この作品を通して千早が波及させてきた情熱を、自らも波及できるような人間になっていきたいものです。

>> 映画『ちはやふる -結び-』公式サイト

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「去年の冬、きみと別れ」に感じた映画におけるプロモーションのジレンマ。

観てきました。TOHOシネマズ六本木だとなぜか英語版字幕つきの回しかないので、ヒルズ族の皆さまはお気をつけくださいまし。(ニッチ)(だし、そもそもヒルズ族な皆さまはヒルズの映画館を使わない説?)

(※下記、ネタバレはしません。)

あらすじはこちらをご参照ください。

最愛の女性との結婚を控えた新進気鋭の記者、耶雲(岩田剛典)が狙った大物は、猟奇殺人事件の容疑者、天才カメラマンの木原坂(斎藤工)。真相に近付く耶雲だったが、木原坂の危険な罠は耶雲の婚約者、百合子(山本美月)にまで及ぼうとしていた―。(Filmarksより)

謎解きに来た感覚で観ていたのの、6割くらいしか想像はできず。原作未読なのだけど、おそらくきちんとしたミステリーなんだろうなと思いましたね。映像作品としての粗は幾ばくかあれど、展開もオチもしっかり成立していて優秀だなーと。(誰目線)

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ただ少しも感情移入ができなかったなと。登場人物のいちいち余白のある演技が気になってことも勿論あります。(とはいえ、ミステリーなのでよいのです)

しかし、こんな表現初めてするけれど、そもそもの犯人が志向性がイってしまっているというか、そもそものパーソナリティが狂いすぎてて理解ができない苦しさがありました。特に執着の動機など。



また、あれほどCMなどで”騙される人が多いですよブランディング“をしてしまえば、観ている側だって、一つ一つ勘ぐってしまう。ただ、そういった勘ぐるスタンスがないまっさらな状態で鑑賞した方が、秀逸なトリックに対する心の揺れ幅が大きいはず。

しかしながら、観客動員数を稼がなければそもそも作品自体の上映期間を稼げない点、そういった英断をなかなかしづらい映画における”プロモーションのジレンマ“なるものを多分に感じる作品でした。

(プロモーション予算を低くして口コミで伝染していくような方式をとってもよかったのではないかな…と思いつつも、アカデミー賞授賞式など映画業界全体の興隆期にぶつけた点と、そもそも小説原作でオリジナル脚本ではない点などが絡んだんだろうな…)

まぁ同じようなブランディングをしていたと思われる、イニシエーション・ラブよりも文句はないですね。(あれは、今すぐラストをごっそりカットしてほしい)(どうした堤監督)



演者でいえば、斎藤工、北村一輝、そして浅見れいなの幼い頃を演じた子役の子!凄まじかったですね。あるシーンが結構トラウマ的に怖くて、さっそく夢に出てきました。

岩田君(がんちゃん?)はもう少し笑った方が、作品により一層の奥行きがでたかもなと。かの有名なカイザー・ソゼのように。あの少しも笑わないという演技において、一種の緊迫感と違和感を根付かせようとしていたのなら理解はできますが。

山本美月の演技は相変わらず….。どの作品でも山本美月は本人役なんじゃないかなと思ってしまいますね(褒めてません)(ただ唯一、この作品はドはまりしてたような)。

しかしながら、写真を撮られている際の佇まい….。美しかったな…。だいぶ好きな顔ですね(なんの話)

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『グレイテスト・ショーマン』のショー(虚構)のような生き様。

昨日観てきました。話題の「グレイテスト・ショーマン」。

ラ・ラ・ランドの制作チームが入ってるんですよね。しかも音楽部隊に。それは観なければなと。

ちなみに、ラ・ラ・ランドについては以前割と熱めに(厚めに?)語ったので、よろしければぜひに。
映画「ラ・ラ・ランド」は、この時代を代表する作品になるはず。



あらすじは下記を参照してくださいませ。

主人公のP.T.バーナムは<ショービジネス>の概念を生み出した男。誰もが“オンリーワンになれる場所”をエンターテインメントの世界に作り出し、人々の人生を勇気と希望で照らした実在の人物だ。そんなバーナムを支えたのは、どんな時も彼の味方であり続けた幼なじみの妻チャリティ。彼女の愛を心の糧に、仲間たちの友情を原動力に、バ ーナムはショーの成功に向かって、ひたむきに歩む。(Filmarksより)

下記ネタバレはしない(はず)(おそらく)



夢と希望、そして愛とアイデンティティを描いたミュージカル。予告編の時点でこれは好きだな…と思っていましたが、想像通り大好きでした。

そして、存じ上げてなかったんですが、実在の人物を取り上げているんですね。

かなり夢物語的なストーリーだなと思っていた反面、観終わってから知ってしまったために、その前提に立ってもう一度観てみたいな。

ストーリーが物足りないという方もいらっしゃると思います かつ すごくわかるんですが、そもそも実在のGreatestなShowmanを描いているという前提に立てば、見え方がかなり変わるんじゃないかなと。(逆に付け足すのも難しいから、必要十分な内容に思えた)

バーナムは、今まで誰にも理解されずに戸惑っていたマイノリティをエンターテイナーとして採用していくわけですが、一見すると、マイノリティな彼らだけがアイデンティティに戸惑っていると思いきや、主人公のバーナム自身も成功を掴み取る道のりで自らを見失うんですね。

その設定がとてもよいと思いました。自らを重ね合わせるという。

自分は誰のために頑張っているんだっけ(生きているんだっけ)?というありがちな戸惑い方なんですが、最も大切なのは家族とその愛であるという帰結を素晴らしい音楽と映像表現で魅せてくれる点。好きです。だいぶうっとりしました。



映像だと、エンジン全開な始まりがやっぱり印象的ですね。“It’s Show Time”と言わんばかりの幕開け。

(この作品が一つのショー(つまりは虚構)であり、その作り話の始まりを表しているのかと思い込んでいた点、実話だと知ってびっくりしてます)

また、ラストの煌めきと躍動感が圧巻ですね。さすがは“Greatest Show”



ラ・ラ・ランドよりもダンスはキレッキレな印象だったけど、あちらは素人だけどついつい踊ってしまう…という感情の高鳴りを表していて、今回はプロの“ショーマン”が演じるダンス。それは違って当然なんですよね。

ただ、その分、クオリティが相応に求められてそうで大変だろうなーと、謎に苦労をいたわる気持ちになりました。

実際のところ、バーでのシーンは30テイク以上に上り、ゼンデイヤが演じた空中ブランコはほぼスタントなしでやりきったとのこと。(ほんとすごいな)



個人的には、ゼンデイヤが演じたアンとザック・エフロン演じるフィリップの静かな恋模様が好きでした。

身分も人種も違うから、口もきけないし、触れないし、一緒にいるところを見られてもいけない。ただ、目が合う瞬間やその表情で、次第に互いを好きになっていくことが伝わるんですね。

(なんだそのむずがゆさは!!!そんな恋愛をしてみたいぞ!!!!)(はい、取り乱してすみません)



歌でいえば、やっぱり「This Is Me」。特段良すぎてちょっと泣きそうになりました。笑

まさにこの作品の核となる楽曲ですよね。奇抜なサーカス、世間とは外れたアウトローな風貌、黒人との恋愛…と様々な壁に阻まれながらも、世間なんて関係ない。これが私だと奮起する。

“気をつけろ 私が行く”というサビの詞がかっこよすぎて、思わず震えました(歌姫風)。



また音楽全体だと、どの曲もミュージカルらしくないほどに現代風にアレンジされているところが面白かったですね。

冒頭の「The Greatest Show」なんてまさしくだけれど、これほどにR&B調が効いたミュージカル音楽は初めて聴く気がします。

しかも1800年代の話とのギャップが面白くて、古めかしさを感じすぎず、親近感を湧かせながら鑑賞できるという。

やはり冒頭の音楽ってかなり重要ですね。出だしで観客をいかにミュージカルの世界に引き込めるか。

ラ・ラ・ランドの「Another day of sun」然り、ヘアスプレーの「Good Morning Baltimore」然り。(両方大好きです)



にしても、ミシェル・ウィリアムズ最近よく見るなぁ。マンチェスター・バイ・ザ・シーに続きとっても良い役。歌もお上手で驚きました。

ザックもいい男になったもんだ。



でもやはり、ヒュー・ジャックマン。彼をキャスティングした制作陣あっぱれです。ほんとに。彼以外にバーナムを演じられる役者が全く思いつかない…。

ウルヴァリンとバーナムの両者を演じられる役者なんてまぁいないはず。彼こそ唯一無二のエンターテイナー(ショーマン)なんだなと再認識しました。



鑑賞後、「ラ・ラ・ランドよりよかった!」といった声がちらほら聞こえました。人によってはそうかもしれないですね。

テーマ性がだいぶ違うのであまり比べるべきではないものの、王道ミュージカルが好きな方は尚更刺さるかもしれません。

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