観てきました。【24:40~@六本木】というなかなかハードな回にて。
いやぁ….観れてよかった。すごいよチャゼル監督。歌・音楽・ダンス・物語の全てがオリジナルという点が本当にすごいし、何もかもがオシャレで、それでいて上質。なんなんだ本当に。
きっと、この時代を代表する一作になるはず(というか、もうなっているのか?)。もう、他の作品とは一線を画しすぎていて、リアルタイムでこの作品に触れられたこと自体、なんだか嬉しく思えてくる。
人生と芸術、現実と夢がとてもよく釣り合っていて、バランスのよい作品。夢・ファンタジーの描き方が素敵すぎると思いつつ、しっかりと現実の切なさ・リアリティを残している。
ああ、映画ってこういうものだよな。と思いました。ミニシアター好きにはたまらない感覚。だから、どことなく「ニュー・シネマ・パラダイス」を連想した。
(脱線すると、ニュー・シネマ・パラダイスが好きな方は、原田マハさんの「キネマの神様」という小説がおすすめかもしれない)
下記は「キネマの神様」内での好きな引用。
映画館の臨場感とは、映画というシステムがこの世に誕生すると同時に作り出された究極の演出なのである。それは一世紀経った現在でも、ほとんど原型を変えることなく伝えられているのだ。ドライブインシアター、カウチポテト族、ホームシアターなど、映画を取り巻く環境は確かに変化しつつある。しかしそれでも映画館が滅びないのは、その臨場感こそが、「娯楽」を追求した人類がようやく獲得した至宝だからだ。映画館は一級の美術館であると同時に、舞台、音楽堂、心躍る祭りの現場でもあるのだ。この世に映画がある限り、人々は映画館へ出かけていくだろう。家族と、友人と、恋人と‥‥‥ひとり涙したいときには、ひとりぼっちで。人間の普遍的な感情、笑いや涙、恐怖や驚きが映画館にはある。ありとあらゆる人生がある。人間が人間である限り、決して映画館が滅びることはない。たまらなく心躍るひとときを求めて、人はきっと映画館に出かけていくのだ。
いい映画を観ると、いろいろと感想を述べたくなる。言葉にすればするほど陳腐になり、その独自性と芸術性が薄れてしまうことは感じつつも。
そんなことを考えて思い出すのは下記とか。(確かTwitterで拾った)
「才能を使い切って見せてくれる人にはこちらも感性を使い切って感じたい」という椎名林檎の台詞をなんとなく秋になる度思い出す。ただそこに存在しているだけでは感性になんの意味もなく能動的に自分という装置をたとえば本や映画や美術館やこれから会う人に破壊されなければならないのだと解釈した。
ちなみに、タランティーノのエピソードも大好きなので、ついでに。
タランティーノ監督の現場は、「今のシーン、もう一回やってみよう!」となった時、監督が「なぜなら~」というと、スタッフが全員で「映画が大好きだからー!」と叫ぶらしい。素敵だ。
(はい。脱線しましたねすみません。)
多分、この「ラ・ラ・ランド」という作品に低評価をする人とは、あまり仲良くなれない気がする(言い過ぎか)
(下記、ネタバレはないはず)
あらすじはこちら。
夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア<エマ・ストーン>は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末のバーでピアノを弾くセバスチャン<ライアン・ゴズリング>と出会う。彼はいつか自分の店を持ち、本格的なジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合うが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことから二人の心はすれ違い始める……。
ちなみに、La La Landってどういう意味?という方が多いと思いますが、どうやらロサンゼルスの愛称らしいですね。(知らなかった)
<ラ・ラ・ランド>とは・・・
ロサンゼルス、主にハリウッド地域の愛称。また陶酔し、ハイになる状態。夢の国。(本作パンフレットより)
ちょっと良すぎて、面を食らいました。世の男性諸君は、気になるあの娘を誘っていくのもよいと思われ。
(自分は一人でしたが、下記を考慮すると結果オーライだった。)
#ララランド の興奮が収まらず、サントラ聴きながらノリノリで夜の渋谷を歩いてるし、さっきからやばいやばい叫んでる。はたから見て完全に変人化してるから、1人映画で正解だった。 (@ 渋谷 in 渋谷区, 東京都) https://t.co/SWjk8UT1WJ
— 原口 遼 (@ryoharaguchi) February 25, 2017
ミュージカルが苦手な人もぜひ見てほしいな、と思います。音楽の入れ方も心地よく、楽しいはず。
(その点、レ・ミゼラブルを観て、なんでもかんでも歌いすぎ!と漏らしていた母にも観てほしい)
いや、もはやミュージカルでもないのか。この作品をミュージカルとタグ付けし、一括りにしてしまうのはかなり乱暴で勿体無い。
「セッション」の時から、この監督にはとてつもない「ジャズ愛」を感じる。そこに旧作品へのオマージュ、映画自体への愛情が加わり、合わさることで、もはや旧来の枠組み(ミュージカル)にさえ捉われていない気がした。
と同時に、ミュージカル、ジャズといった、古めいて段々と廃れていってしまうものに、新たな芽を見出そうとしてるんだろうな。
だから、今までに観たことがない類の映画感がすごくて、鑑賞後しばらく整理がつかなかった。
そして、歌と踊りとドラマを両立させるって相当難しいはずだけど、すんなりと実現してしまっている監督の力量にただただ感服してしまう。
(とはいえ、構想から10年とのこと。素晴らしい作品をありがとうございます)
実際、ミュージカルものだと「ヘアスプレー」という作品が好きだけど、元気になりたい時に音楽に酔いしれるという立ち位置だから、ストーリー性の薄さは目立つ。
(ヘアスプレーも楽曲がいいので、ハマったひとはCD貸します)
その点、もう入りのシーンから鷲掴みされた感があって、高揚が抑えきれなかった。(観た人、いかがでしょうか)
(あの高速道路のシーン、実際は38℃近い現場だったらしい。ダンサーの皆さま、あっぱれすぎる)
にしても、いい曲が多すぎるな….。(下記に一部をご紹介)ひとまず、早速LINEのBGMになりましたね。ええ。
踊りもよかった。港でセブが一人酔いしれるシーンも、”あのポーズ”が現れるタップダンスのシーンもただただ素敵(なんで靴持ってたん?とかは言いません)(言ってる)(そもそも夢の国だから成立するんですね)。
また、エマ・ストーンもライアン・ゴズリングも「丁度よいうまさ」なのがいい。(ここ結構重要)
踊りが不自然に(うますぎず)目立たないから、嬉しくて”仕方なく”踊ってしまっているといった自然な思いが伝わってくる。
そして、やはり脚本がよい。夢を追う姿勢に惹かれ、恋に落ちたセブとミア。偶然訪れた幸せに陶酔する二人(ここもラ・ラ・ランドという言葉と掛けているのが超絶的にオシャレ)。
しかし次第に、恋が大切だからこそ夢を迷う葛藤に襲われる。
夢を追うには人生をかける必要があり、夢を実現させるためには….(ネタバレなので省略)という真理。
恋愛に悩んだ経験のある方は、少なくとも一度は通る問題なのではないでしょうか(そんなこともないか)。
自分の信念のために何かを犠牲にした経験のある方には、きっと響くものがあると思います。そして、それが恋人だったり、大事な人の場合は尚更。
その点、自分の夢よりも、愛する人の夢の実現のために奔走するセブは、男性としてかっこよすぎましたね。男女問わず、惚れ惚れするはず(多分)。
(そのことが招く二人の行く末に関しては、観た人語りましょうね。)
とはいえ、夢を貫いたから偉いわけでもないし、諦めたから根性がないわけでもない。そもそもそこには「正解」がない。
その「正解」を自分で決めなければならない点、誰しもが迷い、悩みながら生きているという人間臭さに観客一同引き込まれてしまう。なんというか、主人公たちのある種のいじらしさに共感せざるを得ない。
そして、上記の酸いにも甘いにも相当な見応えがある。
それは、色彩豊かな映像と美男美女のキャスト、素晴らしすぎる楽曲の数々。また、本当に幅広い映像表現が存分に引き立てるから。(特に、ラスト15分くらい?の映像がもう至高すぎる…)
また、カメラワークがとてつもなくいい!!中でも、プールのシーン、プラネタリウムのシーンとか、ただただ綺麗。
まぁ、セブのピアノに合わせてミアが踊るジャズバーでのシーンは、若干の「セッション」を感じてちょっと笑ったけど。(鬼教師フレッチャーと、主人公の掛け合いすね)(しかも、J・K・シモンズはまたいい役どころ)
同様に、本作で歌われる「Audition(The Fools Who Dream)」で、ミア(エマ・ストーン)をどアップ目に映すシーンは「レ・ミゼラブル」を、大きな夢を持ってロサンゼルスへ…という設定はどことなく「ロック・オブ・エイジズ」を連想。
にしても、ライアン・ゴズリングって、上品な顔立ちだなぁ…。「ドライヴ」、「きみに読む物語」の時もそうだけど、この人が出ると、作品がどことなくオシャレに仕上がる感がある。
また、劇中で度々披露されるピアノ。彼は、3カ月間+現場でもずっと練習してこのパフォーマンスに仕上げたとのこと。やっぱりイケメンだなこの人。(もう一度ピアノ弾きたくなってきた)
エマ・ストーン(ミア)の華やかなワンピース姿は、やはり見惚れました。映画に出てくる女性は、素敵なワンピースを着ていてほしいなって常々思ってます。(例えば下記とか)
夏の暑い中、水色とか紺とか青色系統のワンピースを軽やかに着こなす系女子いいよなぁ。「博士と彼女のセオリー」でいうところのフェリシティ・ジョーンズを連想する(おそらく分かってもらえない)。 #Cinemap pic.twitter.com/6PHWB6Acas
— 原口 遼 (@ryoharaguchi) August 27, 2016
原色×シンプルルック、流行るだろうなぁ…。(非常にいいと思う)
ミアもセブも一貫してクラシックな出で立ちだったけれど、原色多めの映像にとっても映えていた。
エマ・ストーンの私服のセンスの良さは、「モテキ」の大根監督も太鼓判。素晴らしい。(下記)
エマ・ストーンの私服、好きだなあ。 pic.twitter.com/mPSdi1Q2aM
— 大根仁 (@hitoshione) November 6, 2016
最近「auスマートパス」に加入していたことが判明したため、月曜は仕事を切り上げて映画を観る!と決めたんですが、早くも2度目の鑑賞をしそうです。
というか、先ほどチケット買いました。(tohoだと1,100円で観られる ※同伴者も適用)
https://www.tohotheater.jp/campaign/au_monday/index.html
これはDVDも買ってしまうだろうな。定期的に観たくなる作品だと思う。この感覚は「アバウト・タイム」にはまった時に近しい。
きっと自分は、”あの人を想うと高揚して、思わず微笑んじゃう”、みたいなシーンがたまらなく好きなんだろうな。
(ネタバレできないのが悔やまれるので、観た人は話しましょうね)
(あのシーンが好き!!!!とか言いたい)
ちなみに、実はエマ・ストーンの地毛は金髪らしい。初期の出世作『スーパーバッド』を撮る時、監督のジャド・アパトーから赤毛を勧められて気に入ったとのこと。(確かに、バードマンでは金髪だったか)
いやぁ、ありがとうございます。監督。相当グッジョブです。