月別アーカイブ: 2017年2月

映画「ラ・ラ・ランド」は、この時代を代表する作品になるはず。

観てきました。【24:40~@六本木】というなかなかハードな回にて。

いやぁ….観れてよかった。すごいよチャゼル監督。歌・音楽・ダンス・物語の全てがオリジナルという点が本当にすごいし、何もかもがオシャレで、それでいて上質。なんなんだ本当に。

きっと、この時代を代表する一作になるはず(というか、もうなっているのか?)。もう、他の作品とは一線を画しすぎていて、リアルタイムでこの作品に触れられたこと自体、なんだか嬉しく思えてくる。

人生と芸術、現実と夢がとてもよく釣り合っていて、バランスのよい作品。夢・ファンタジーの描き方が素敵すぎると思いつつ、しっかりと現実の切なさ・リアリティを残している。

ああ、映画ってこういうものだよな。と思いました。ミニシアター好きにはたまらない感覚。だから、どことなく「ニュー・シネマ・パラダイス」を連想した。

(脱線すると、ニュー・シネマ・パラダイスが好きな方は、原田マハさんの「キネマの神様」という小説がおすすめかもしれない)

下記は「キネマの神様」内での好きな引用。

映画館の臨場感とは、映画というシステムがこの世に誕生すると同時に作り出された究極の演出なのである。それは一世紀経った現在でも、ほとんど原型を変えることなく伝えられているのだ。ドライブインシアター、カウチポテト族、ホームシアターなど、映画を取り巻く環境は確かに変化しつつある。しかしそれでも映画館が滅びないのは、その臨場感こそが、「娯楽」を追求した人類がようやく獲得した至宝だからだ。映画館は一級の美術館であると同時に、舞台、音楽堂、心躍る祭りの現場でもあるのだ。この世に映画がある限り、人々は映画館へ出かけていくだろう。家族と、友人と、恋人と‥‥‥ひとり涙したいときには、ひとりぼっちで。人間の普遍的な感情、笑いや涙、恐怖や驚きが映画館にはある。ありとあらゆる人生がある。人間が人間である限り、決して映画館が滅びることはない。たまらなく心躍るひとときを求めて、人はきっと映画館に出かけていくのだ。

いい映画を観ると、いろいろと感想を述べたくなる。言葉にすればするほど陳腐になり、その独自性と芸術性が薄れてしまうことは感じつつも。

そんなことを考えて思い出すのは下記とか。(確かTwitterで拾った)

「才能を使い切って見せてくれる人にはこちらも感性を使い切って感じたい」という椎名林檎の台詞をなんとなく秋になる度思い出す。ただそこに存在しているだけでは感性になんの意味もなく能動的に自分という装置をたとえば本や映画や美術館やこれから会う人に破壊されなければならないのだと解釈した。

ちなみに、タランティーノのエピソードも大好きなので、ついでに。

タランティーノ監督の現場は、「今のシーン、もう一回やってみよう!」となった時、監督が「なぜなら~」というと、スタッフが全員で「映画が大好きだからー!」と叫ぶらしい。素敵だ。

(はい。脱線しましたねすみません。)

多分、この「ラ・ラ・ランド」という作品に低評価をする人とは、あまり仲良くなれない気がする(言い過ぎか)

(下記、ネタバレはないはず)

あらすじはこちら。

夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア<エマ・ストーン>は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末のバーでピアノを弾くセバスチャン<ライアン・ゴズリング>と出会う。彼はいつか自分の店を持ち、本格的なジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合うが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことから二人の心はすれ違い始める……。

ちなみに、La La Landってどういう意味?という方が多いと思いますが、どうやらロサンゼルスの愛称らしいですね。(知らなかった)

<ラ・ラ・ランド>とは・・・
ロサンゼルス、主にハリウッド地域の愛称。また陶酔し、ハイになる状態。夢の国。(本作パンフレットより)

ちょっと良すぎて、面を食らいました。世の男性諸君は、気になるあの娘を誘っていくのもよいと思われ。

(自分は一人でしたが、下記を考慮すると結果オーライだった。)

ミュージカルが苦手な人もぜひ見てほしいな、と思います。音楽の入れ方も心地よく、楽しいはず。

(その点、レ・ミゼラブルを観て、なんでもかんでも歌いすぎ!と漏らしていた母にも観てほしい)

いや、もはやミュージカルでもないのか。この作品をミュージカルとタグ付けし、一括りにしてしまうのはかなり乱暴で勿体無い。

「セッション」の時から、この監督にはとてつもない「ジャズ愛」を感じる。そこに旧作品へのオマージュ、映画自体への愛情が加わり、合わさることで、もはや旧来の枠組み(ミュージカル)にさえ捉われていない気がした。

と同時に、ミュージカル、ジャズといった、古めいて段々と廃れていってしまうものに、新たな芽を見出そうとしてるんだろうな。

だから、今までに観たことがない類の映画感がすごくて、鑑賞後しばらく整理がつかなかった。

そして、歌と踊りとドラマを両立させるって相当難しいはずだけど、すんなりと実現してしまっている監督の力量にただただ感服してしまう。

(とはいえ、構想から10年とのこと。素晴らしい作品をありがとうございます)

実際、ミュージカルものだと「ヘアスプレー」という作品が好きだけど、元気になりたい時に音楽に酔いしれるという立ち位置だから、ストーリー性の薄さは目立つ。

(ヘアスプレーも楽曲がいいので、ハマったひとはCD貸します)

その点、もう入りのシーンから鷲掴みされた感があって、高揚が抑えきれなかった。(観た人、いかがでしょうか)

(あの高速道路のシーン、実際は38℃近い現場だったらしい。ダンサーの皆さま、あっぱれすぎる)

にしても、いい曲が多すぎるな….。(下記に一部をご紹介)ひとまず、早速LINEのBGMになりましたね。ええ。



踊りもよかった。港でセブが一人酔いしれるシーンも、”あのポーズ”が現れるタップダンスのシーンもただただ素敵(なんで靴持ってたん?とかは言いません)(言ってる)(そもそも夢の国だから成立するんですね)。

また、エマ・ストーンもライアン・ゴズリングも「丁度よいうまさ」なのがいい。(ここ結構重要)

踊りが不自然に(うますぎず)目立たないから、嬉しくて”仕方なく”踊ってしまっているといった自然な思いが伝わってくる。

そして、やはり脚本がよい。夢を追う姿勢に惹かれ、恋に落ちたセブとミア。偶然訪れた幸せに陶酔する二人(ここもラ・ラ・ランドという言葉と掛けているのが超絶的にオシャレ)。

しかし次第に、恋が大切だからこそ夢を迷う葛藤に襲われる。

夢を追うには人生をかける必要があり、夢を実現させるためには….(ネタバレなので省略)という真理。

恋愛に悩んだ経験のある方は、少なくとも一度は通る問題なのではないでしょうか(そんなこともないか)。

自分の信念のために何かを犠牲にした経験のある方には、きっと響くものがあると思います。そして、それが恋人だったり、大事な人の場合は尚更。

その点、自分の夢よりも、愛する人の夢の実現のために奔走するセブは、男性としてかっこよすぎましたね。男女問わず、惚れ惚れするはず(多分)。

(そのことが招く二人の行く末に関しては、観た人語りましょうね。)

とはいえ、夢を貫いたから偉いわけでもないし、諦めたから根性がないわけでもない。そもそもそこには「正解」がない。

その「正解」を自分で決めなければならない点、誰しもが迷い、悩みながら生きているという人間臭さに観客一同引き込まれてしまう。なんというか、主人公たちのある種のいじらしさに共感せざるを得ない。

そして、上記の酸いにも甘いにも相当な見応えがある。

それは、色彩豊かな映像と美男美女のキャスト、素晴らしすぎる楽曲の数々。また、本当に幅広い映像表現が存分に引き立てるから。(特に、ラスト15分くらい?の映像がもう至高すぎる…)

また、カメラワークがとてつもなくいい!!中でも、プールのシーン、プラネタリウムのシーンとか、ただただ綺麗。

まぁ、セブのピアノに合わせてミアが踊るジャズバーでのシーンは、若干の「セッション」を感じてちょっと笑ったけど。(鬼教師フレッチャーと、主人公の掛け合いすね)(しかも、J・K・シモンズはまたいい役どころ)

同様に、本作で歌われる「Audition(The Fools Who Dream)」で、ミア(エマ・ストーン)をどアップ目に映すシーンは「レ・ミゼラブル」を、大きな夢を持ってロサンゼルスへ…という設定はどことなく「ロック・オブ・エイジズ」を連想。

にしても、ライアン・ゴズリングって、上品な顔立ちだなぁ…。「ドライヴ」、「きみに読む物語」の時もそうだけど、この人が出ると、作品がどことなくオシャレに仕上がる感がある。

また、劇中で度々披露されるピアノ。彼は、3カ月間+現場でもずっと練習してこのパフォーマンスに仕上げたとのこと。やっぱりイケメンだなこの人。(もう一度ピアノ弾きたくなってきた)

エマ・ストーン(ミア)の華やかなワンピース姿は、やはり見惚れました。映画に出てくる女性は、素敵なワンピースを着ていてほしいなって常々思ってます。(例えば下記とか)

原色×シンプルルック、流行るだろうなぁ…。(非常にいいと思う)

ミアもセブも一貫してクラシックな出で立ちだったけれど、原色多めの映像にとっても映えていた。

エマ・ストーンの私服のセンスの良さは、「モテキ」の大根監督も太鼓判。素晴らしい。(下記)

最近「auスマートパス」に加入していたことが判明したため、月曜は仕事を切り上げて映画を観る!と決めたんですが、早くも2度目の鑑賞をしそうです。

というか、先ほどチケット買いました。(tohoだと1,100円で観られる ※同伴者も適用)

https://www.tohotheater.jp/campaign/au_monday/index.html

これはDVDも買ってしまうだろうな。定期的に観たくなる作品だと思う。この感覚は「アバウト・タイム」にはまった時に近しい。

きっと自分は、”あの人を想うと高揚して、思わず微笑んじゃう”、みたいなシーンがたまらなく好きなんだろうな。

(ネタバレできないのが悔やまれるので、観た人は話しましょうね)

(あのシーンが好き!!!!とか言いたい)

ちなみに、実はエマ・ストーンの地毛は金髪らしい。初期の出世作『スーパーバッド』を撮る時、監督のジャド・アパトーから赤毛を勧められて気に入ったとのこと。(確かに、バードマンでは金髪だったか)

いやぁ、ありがとうございます。監督。相当グッジョブです。

「愚行録」に、物事の判断基準を揺さぶられる。

観てきました。いやぁ、ネタバレしないですけど、すごく色々と書きたくなるような。時間をかけて咀嚼したくなる作品だと思う。(ネタバレはないはず)(多分)

ストーリーは下記を参照。

閑静な住宅街で起こった一家惨殺事件。被害者・田向浩樹(小出恵介)は大手デベロッパーに勤めるエリートサリーマン。妻の友季恵(松本若菜)は物腰が柔らかく、近所からも慕われる上品な美人。ふたりは娘とよく買い物に出かけるなど、誰もが羨む仲睦まじい≪理想の家族≫として知られていたが、田向は1階で友季恵と娘は2階寝室で刺殺された姿で発見され、世間を騒然とさせた。未解決のまま一年が過ぎ、風化していく事件。週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は改めて真相を探ろうと関係者の証言を追い始める。しかし、そこから浮かび上がってきたのは田向夫妻の外見からは想像もできない噂の数々だった-。

(ちなみに、殺人事件の85%は、被害者と加害者の間に事前の人間関係があり、動機のほとんどは金か愛か恨みらしいです。(まぁそれはそうか))

冒頭の妻夫木くんのシーンから一気に観客を不穏な空気に誘うのは、うまいなぁ、と思った。(しかし実は原作にはないシーンらしい)

しかし、結構先読みしてしまう部分も多く、本作最大の”愚行”も作品全体の3分の2くらいに差し掛かった時に、粗方予想はついてしまった感がある。

だから、ストーリーに期待して観すぎると、ちょっと拍子抜けしてしまう人も多いのかも。

ただ、登場人物が語るプチ愚行(最大の愚行と分けて)の数々が、生活の一部を覗いているようで、途中映画を観ていることを忘れるほど、自然に入り込める点はこの映画のすごいところ。

(その点、マドンナ夏原さんを演じた女優さんをよくキャスティングした!と思った。”どこにでもいそうだけどなかなかいない”という絶妙な美人具合)

また、この作品の面白みは、本作で描かれる愚行が、果たして本当に愚行なのかわからなくなる点だと思う。

主人公が各人にインタビューを重ねていき、それぞれの視点で事件の被害者となった夫婦に関する証言が語られる。見方、見え方により、自分にとって何が善く、何が悪いかの基準が段々と曖昧になっていく。

愚行は本当に愚行なのか。もがき苦しみつつ突き進んだ先の行動ではなかったのか。そもそも”愚か”という烙印は誰が決めるのか。

そんな問いに対して、自分は本作の犯人を悪者だとは思えなかったんですよね。周りの人間の方がよっぽど凶悪に思えて仕方がなかった。

そして、本作でインタビューを受ける側にいた登場人物誰しもが、他人の愚行に関して、冷ややかかつ饒舌に語る。それは実世界においても同じなんだなと。

普段は全くもって意識していなくとも、あなた自身、無意識に他人を分類分けし、傷つけ合っているんですよ。という事実を突き刺されているような感覚を持ちました。

その点、ああ、自分は物事の判断基準が揺さぶられる作品が好きなんだな、と気付く作品でしたね。(過去作を挙げても”ボーダーライン”しかり、”怒り”しかり)

また、ここまで演者の白目が濁って見える作品も少ないと思う。中でも、満島ひかりの笑うことのない目が、この作品を存分に引き立てていた。おぞましかった(褒め言葉)。

というか、演者がみな年齢不詳すぎてびびる。特に臼田あさ美とか。もう30歳なのに、大学生役もあんなにこなせちゃう女優ってすごい。というと、満島ひかりと中村倫也にも同じことが言える。

(というか、この作品は年齢不詳な役者を集めた感さえある)

最後に本作パンフレットに掲載の、妻夫木くんの「愚行」に対する考え方がよかったので、下記に引用。

– 本作を通して描かれている「愚行」とは何だと思いますか?
自分主体で生きていること自体が愚かといえば愚かですよね。でもだからこそ人間だということでもあると思います。何がよくて何が悪いかというのは自分自身で決めるものではないですし、愚かであることが悪いともいえないと思います。僕自身は、好きな人と一緒に食べるごはんはいつもより美味しく感じるとか、普段の行動の中でもちょっとした幸せを感じることがとても大事だと思うんです。ただ、それが当たり前になってしまうと人間にはどうしても慣れというものが生じるんですよね。すると頭がどんどんそれよりも上を求めてしまう。そうやって欲張りになって、愚かになっていく。だったら多くを知っているよりも知らない方が幸せなのかもしれません。

Awesome City Club「青春の胸騒ぎ」のメロディーラインがとっても心地よい。

若い世代に当てはめた2010年版デュエットソングや、恋する女性の気持ちをヴァンパイアに血を吸われる女性に当てはめた一曲など幅広く、そして相変わらずおしゃれに歌い上げるバンド。Awesome City Club。


今回は90年代を彷彿とさせるような、ちょっとざらついた(若干Ceroっぽい)風合いを持った一曲。「青春の胸騒ぎ」。

メロディーラインの耳障りが本当によくて、とても心地よい。(ということで、営業の移動中気づけばずっとリピートしてた)

初めて知る人のために、下記にバンド情報を引用。

2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより結成。2014年4月、サポートメンバーだった PORINが正式加入して現在のメンバーとなる。「架空の街 Awesome City のサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティ・ポップをRISOKYO から TOKYOに向けて発信する男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」より、第一弾新人としてデビュー。4月8日にファーストアルバム「Awesome City Tracks」をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。9月16日には早くもセカンドアルバム「Awesome City Tracks 2」をリリース。11月に開催されたバンド史上初となる全国ワンマンツアーも大盛況のうちに幕を閉じ、2016年3月には配信シングル「Vampire」をリリース。6月22日に3rdアルバム「Awesome City Tracks 3」をリリースし、2度目のワンマンツアーを敢行。11月に東京と大阪で自主企画ライブを予定している。クラウドファンディングやVRなど最新のテクノロジーを積極的に駆使した活動が各所から注目を集めている。

本当にセンスいいなぁ。ウケるポイントを熟知しているような。そして、相変わらず器用なバンドだと思う。

また、メンバーのビジュアルもよく、十分すぎるくらいにフォトジェニック。(去年初めてライブ参戦したけれど、女性メンバーがかわいすぎた)歌もいい。トークも面白い。いやぁ…すごい。

また、ファンクラブをnoteで展開したり、クラウドファンディングでMVを作ったりと、音楽業界の現状とリスナーとの関係性を理解しつつ、うまく動いている点、やっぱり器用なんだろうな。きっとマーケター的な視点が強いんだと思う。

https://note.com/awesomecityclub

(その点、サカナクションの山口一郎さんにも同じようなものを感じる)

MVも相当雰囲気がいい。こちらはアルバムのアートワークを手掛けたYOSHIROTTENさんからのリクエストで製作が決定したらしい。

http://www.yoshirotten.com/

ちなみに8ミリ風に撮影できるカメラアプリを使用して、全てスマートフォンで撮影とのこと。(すごいな)