「はじまりのうた」を観てきました。
イギリスからニューヨークへとやって来たシンガーソングライターのグレタは、恋人デイブに裏切られ失意のままライブハウスで歌っていたところを、落ち目の音楽プロデューサー、ダンに見出される。ダンに誘われてアルバムを制作することになったグレタは、ニューヨークの街角で次々とゲリラレコーディングを敢行していく。
よかったです。低予算な感じは出てましたが、とてもリアリティがある作品でした。笑える要素の入れ方も程よい。
音楽を通して、主に3人(と周りの仲間たち)の生き方が変わっていくというストーリーは勿論のこと、NYの街並みを存分に楽しめる映像もいい。
グレタとダンはNYの至る所を転々としながら、街の音も含めつつレコーディングに臨むシーンからは、なんだかyoutuberを思い出しましたね。テクノロジーとやる気さえあれば、可能性が広がるという。
そういう挑戦する姿勢に共感する環境というのは、NYの一つのいいところなのかもしれない。
主人公グレタを演じたのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでおなじみのキーラ・ナイトレイ。本人曰く、演じる役の大半は最後に死ぬらしい。確かに歴史上の人物が多いイメージ。
そんな彼女が今回はシーンの大半で歌を披露してました。
割といけてましたね。特別うまい!ってわけでもなく、スカーレット・ヨハンソンのようなとびきりセクシーなハスキーボイスとか、特徴的なわけでもなかったけれど、自分の想いをそっと呟くような歌い方はアリでした。
彼女のファッションにも注目です。こなれている着こなし感が素敵。
また、この作品の楽しみな要素として大きかったのが、マルーン5のボーカル、アダム・レヴィーンが主人公の恋人役デイブで出演しているということ。
今回が演技初挑戦だったらしいですが、これまた違和感なし。
まぁ演技力をとびきり見せる役柄ではなかったし、割と普通の「忙しく私生活では大人しめな男性」ではあるものの。グレタとのシーンは理想のカップルといった感じ。
歌は相変わらずうまい。あんな声があったらどんな人生だっただろう、、、。
と、劇中3回くらい思いました。高音がこの上なく甘く響くんです。彼。すごいなほんとに。
劇場で聞く彼の歌声は、ただただ鳥肌もの。
今回、主人公のグレタは自分の歌を大事にしているアーティスト気質、たまに行う作曲も大事な彼に贈るために。といった役柄、それに対して、デイブはポップスターへと駆け上がっていく中で、段々と売れるための音楽に走っていく。
彼らカップルが一旦別れ、再会した際、そのことで彼をグレタが諌めるシーンがありますが、その時のデイブのダメっぷりは、ちょっとMiseryを想起させます。まぁそれは言い過ぎか。
本業で世界的な歌手として活躍している分、「何のための音楽なのか」といったテーマに対して、自分自身を重ね合わせて感じることも多かったんだろうな。
そんな彼は、今作にノーギャラでの出演をOKしたそうで。イケメンですね。
演じようとする歌手と、歌おうとする役者。
このなんとも言えない奇妙な設定が面白かったです。これまた妙に自然で。
で、観る前は上記の二人にしか注目していなかったんですが、
プロデューサーのダンを演じたマーク・ラファエロのはまり感はすごくよかった。ほんとにぴったし。
サングラスがカッコよく思えて、ちょっとかけたいなと思ったものの、似合わないので残念です。
印象的なシーンは二つ。(まだ観てない方はここまでで読むのをやめるといいかもしれない)
まず、上映はじめ、主人公がライブハウスで歌うシーンが二度繰り返されるのだけど、一回目は主人公視点で、二回目はプロデューサーのダン視点で。
二人の音楽の聞こえ方の違いがとても面白かったですね。
まぁ観て確認してください。ニューヨークはアーティストにフェアな環境なんだな。
次に、グレタとダンがお互いの音楽プレイヤー(おそらくiPhone?)のプレイリストを見せあいっこして、それを聴きながら夜のNYをデートするシーン。
ちょっと素敵すぎましたね。このデートはしてみたい。二人が流す楽曲も素晴らしい。
二人のくっつきそうでくっつかない絶妙な距離感は、「ONCE」を思い出す人が多いと思われる。
なかなかオススメです。
観て損はないはず。音楽と無縁な人はいないはずなので、楽しめることでしょう。
映画観たいけど、観る映画がない。という方はぜひ。