最近、下記の本を読みまして。
サービスのUXを考える際のポイントがかなり網羅的にまとまっていたので、どんなエッセンスというか、ツボ?を押さえるべきなのか、その事例となる先輩サービスはどのようなものか、というのを備忘録的に残しておきます。
ご参考になれば幸いです。
■言い訳の提供
「だって、~だから」と、何かあったときに周囲や自分自身に伝えることができる「言い訳」を提供する
BeReal
1日1回ランダムなタイミングで通知が来て、その通知から2分以内に写真を撮影して投稿しなければならない
⇒ 盛る時間がないため、強制的に日常の自然な様子が投稿される
= アプリ側が仕組みとして言い訳を提供する
参考:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bereal.ft&hl=ja&gl=US&pli=1
社長のおごり自販機
販売機の前で社員2名がそろい、2名の社員証をその自動販売機に向かって同時にタッチすることで、それぞれ1本ずつの飲み物を無料で受け取れる
⇒ ちょっとしたゲーム感覚・お得感で参加可能
= 気軽に話しかける口実(言い訳)を提供する
参考:https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/ogori/
ツイキャス
ライバーがリアルタイムで自分の部屋などから日常の延長のようなトーンで、顔をアップで映す形式でアプリを用いてライブ配信を行うサービス(ライブ配信は30分で強制終了)
⇒ ライバーの負担を軽減する
= ファンに角が立たないライバーにとっての言い訳を提供する
CHIMNEY TOWN GIFT
絵本「えんとつ町のプペル」を子供にプレゼントすると、その寄贈先と絵本の冊数がNFTに刻まれ、寄贈する絵本の冊数に応じてメダルの色が変わるNFT
⇒ NFTウォレットにおける誰でも購入履歴が確認可能という特徴を利用
= 自身の社会貢献やセンスの良さをアピールせざるを得ない言い訳を提供する
参考:https://chimneytown.net/collections/chimneytowngift
■所属感のアシスト
顧客に所属感を適切に感じてもらう。ただ、考えなしに一律にしようとすれば、顧客のプライドを傷つけたり、煩わしいと思われてしまうリスクを有する
Neighbors
同じエリアに住むご近所同士で、それぞれの自宅に設置された監視カメラの映像や、目撃情報など、治安や安全に関する情報をアプリで共有し合うサービス
⇒ 不安の共有・情報提供による貢献感
= 無理なく自然に所属感をアシストする(さらに貢献しようと思う好循環)
Fanicon
アーティストやインフルエンサーが、月額会員制のファンコミュニティを運営するのをサポートするアプリサービス
⇒ ファン同士のやりとりの主軸化(インフルエンサー⇒ファンではなく、ファン同士のコミュニケーションがメイン)・新人ケアの複線化(参加者の中で新人が加わると、共通点が多い複数のファンとつなぐ)
= 新たなコミュニティに所属する不安感を自然に取り除き、熱量の同じものどおしの居場所が生まれる
oVice
バーチャルオフィスを作れるサービス
⇒ 一緒に仕事をしているという存在感が得られる
= 直接的なコミュニケーションがなくても、つながっているという体感を提供
(類似事例)
■ハードルを下げる
意思決定のハードルを下げる。誰の、どこのハードルを下げる必要があり、なぜその人にとって必要なのか、多様なハードルがある中でどこから下げるべきかを検討することが不可欠
nana
自分で歌ったり演奏した音楽を、90秒単位で投稿したり、他のユーザーの投稿した音楽を聴いたりできるアプリ
⇒ 90秒というシンプル・一貫した上限を設置
= 歌い手側の歌唱力・準備時間、聴き手側のハードルを下げる
(設計する際の検討ポイント)
スプラトゥーン
カラフルなインクを敵に発射したり地面に塗ったりして、制限時間内でチームの色の面積の広さを競う対戦ゲーム
⇒ 初心者でもすぐにしっかり戦力になり、簡単かつ明確にチームに貢献できる(敵を倒さずに楽しめるナワバリバトル)
= 難しさや足を引っ張って迷惑をかけたくないという参加ハードルを下げる
参考:https://www.nintendo.co.jp/wiiu/agmj/index.html
■罪悪感の転嫁
例えば下記のような罪悪感を解消すること
ラクサス
月額性で高級ブランドバッグをレンタルできるサービス
⇒ バッグと処分するという行為がなくなる
= 捨てる罪悪感、売るのは惨めというジレンマを解消する
スナックミー
100種類以上のおやつから、自分に合ったおやつを定期配送してくれるサブスクサービス
⇒ 食べきれずに捨てる体験をなくすため、余ったおやつを他の子どもに寄付できる「返送用の封筒」を用意
= 捨てる罪悪感を払拭する(捨てることを考えていない段階から、別ルートを用意)
退会者からのインタビューから着想を得たとのこと。CSの鑑だな。
■見えない化
あえて見えなくすることで、新たな価値を提供する
スマートバスマット
体重測定できるバスマット
⇒ 体重はバスマットに表示されるわけではなく、スマートフォンアプリにデータとして蓄積される
= 自分の体重と直視しなくて済む、自分だけがこっそり確認したいというニーズに応える
参考:https://issin.cc/pages/smart-bath-mat
LINEギフト
LINEでつながっている友だちに対して、ギフトを選び、贈ることができるサービス
⇒ ギフト送付先の住所情報を見なくて済む
= お互いアカウント名しか知らないけど、プレゼントを贈りたいというニーズに応える
■心のサンクコスト
お金以外の要因で、「せっかく~したんだから」と継続する力を引き出すこと
RIZAP
言わずもがなのパーソナルトレーニングジム。
⇒ 最初に全額をまとめて払う×2か月で決着をつけさせる
= もう腹を括るしかないという心持ちにさせる
MEZON
月額定額で1,200以上の様々な美容院に通い放題のサブスクサービス。
⇒ 行かなくてもいいときに行くのは無駄遣いみたいでためらう、他の美容院を試しにくいという気持ちを軽くする
デアゴスティーニ
特定のテーマに関して、週刊など定期的に少しずつ紹介していく、付録付き雑誌
⇒ 少しずつ形にしていく楽しさや、コレクション欲をくすぐる
= 安価な最初の号で、パーツの一部を手に入れることで、心のサンクコストを発動させる
(下記のように購入者目線で設計されていることが大前提)
■自分で決めない
自分で決めないことで、決めるという行為の負担・難しさ・副作用を背負わなくて済む
(決めることのデメリット)
dōzo
贈る相手に合わせたテーマだけを選び、そのテーマから好きなものをギフトを受け取る相手が選べるサービス
⇒ 具体的な商品は受け取る側が選ぶが、贈る側も相手に伝えたいメッセージを兼ねたテーマを選択可能
= 贈り手:相手に負担をかけるのは嫌、センスがないと思われるのは嫌という気持ちからの脱却 受け取り手:欲しくないけど、断れないし捨てられないというもやもやから脱却
airCloset
ファッションのサブスクサービス、プロのスタイリストがユーザー一人ひとりに合った服をセレクトして自宅に郵送してくれる。
⇒ 自分で選ぶ自信がないものを、プロが専門性・客観性に基づいて選んでくれる
= 第三者に似合う服を認めてもらう承認感が得られる
参考:https://www.air-closet.com/
お見合い
名前の通り。結婚するために、近所の顔が広い人など第三者が仲人となり、結婚相手を探して、紹介する文化。
⇒ 結婚前提で会える、人柄や身元に関して安心できるという安心感を享受できる
= 自分で選ばずに済み、「会いましょう!」ではなく「会うことになりましたねー」という入り方ができ、疲れにくく、心地よい
(下記は参考になるポイント)
Yohana
ピンポイントでの家事外注ではなく、タスクの優先順位を設計し、進めてくれるトータル外注サービス
⇒ 1日複数回、毎日のように襲ってくる決定コストを根本的に下げてくれる
= 家事を「自分で決めない」という思い込みを解消してくれる
■失敗OK
言葉の通り。失敗してもOKであるという体験設計を盛り込むこと
(盛り込む際に確認すべきポイント)
あと値決め
商品やサービスの価格を、顧客が、購入して利用した後に決めるサービス
⇒ 質がわからない初めての商品やサービスであっても一歩踏み出しやすい、+ サービス提供側に一定の緊張感が生まれるため、顧客側からしても安心感 + 値段を通してサービス提供者に感謝を伝えられる
参考:https://pricing.netprotections.com/
Snapchat
投稿内容がしばらくすると自動的に消えるSNS
⇒ 自動で消えるため、デジタルタトゥーのように残らない安心感がある
= 気軽に発信・表現できる幅が広がる
参考:https://www.snapchat.com/ja-JP
レゴブロック
カラフルで、様々なk達と大きさのブロックがたくさん入っている玩具
⇒使い方に正解やゴールがなく、自由な遊び方が可能 = 失敗の概念をなくすことで、恐れず着手できたり、自由な表現やチームワークを発揮しやすくなる
はがせるマーカー
蛍光ペンのように教科書や本にカラフルな線を引き、後で消すこともできる商品
⇒ 蛍光ペンを引いた後に公開することを防ぐ + 図書館で借りた本など、汚せないけどマークしたいという普段我慢している欲求を満たす
つまるところ、失敗OKというのは、他者の目線や未来の不確実性を気にせず、思ったことや気づいたことを表現しきること、挑戦しきることを可能にすること
参考:https://www.kanmido.co.jp/products/hagaserumarker/
■難問
「誰もできないと思うからこそ、我こそは!」という、一部の人を引き付ける魔力をうまく盛り込む
Googleの採用広告
優秀な人材を採用するために、複雑な数字を掲載した一昔前の広告
⇒ 難問というだけで、それがギリギリ解ける人をそそる魔力をもたらす
= 特定領域のマニアや、興味を持つ人、ある感性を大事にする人などいがいと裾野が広いアプローチとなる
参考:https://note.com/miyaccchi/n/nf01f2faebe0a
ギネス世界記録
多様な分野の「世界で一番」を集めた書籍・認定サービス。
⇒ ”世界一”という圧倒的な難問性・インパクトと、切り口私大で意外と身近で到達可能である設計
参考:https://www.guinnessworldrecords.jp/
■トライアル2.0
お試しにおける通例の概念を壊す
例えば下記の思い込みなど
Oh my glass
ネットで注文し、自宅で試着できる眼鏡屋さん
⇒ 試着したい眼鏡を5つまで選択し、数日の間、自宅で自由に試せる
= 店舗では難しい友人・家族からの評価が聞ける+普段のコーディネートと合わせられる+店員さんの目を気にせず試せる
参考:https://www.ohmyglasses.jp/
丸善ジュンク堂書店
圧倒的な品揃えが特徴の大手書店チェーン
⇒ 本屋に一晩泊まって語り合ったり、好きなだけ本を読んだ後、本に囲まれながら眠りにつけるツアー、目次だけを30分眺める読書会など様々なトライアル体験を開催
= トライアル対象を1冊の書籍など個別の商品ではなく、カテゴリー全体に広げ、新たな読書体験を提供し差別化
参考:https://www.maruzenjunkudo.co.jp/
Rentio
様々な家電など、通常はレンタル対象でなかったものを、購入せずに月額でレンタルできるサービス
⇒ 今までではレンタルするという発想すらなかったもののトライアルの壁を崩す
= 高価ゆえにマニア以外の層の購入につながる
■使う分だけ
ユーザーの「使う分だけ」を特定し、体験を通して適切に提供する
(盛り込むことによるメリットは下記(一部))
PillPack
Amazonが買収したオンライン調剤薬局サービス
⇒ これさえ飲めばいいという分をひとまとめにして、小分けで配送
= 説明文の確認・薬の組み合わせの確認コストを省き、飲み忘れを防ぐ
Kit Oisix
料理メニューに必要な材料だけを、必要な量だけ、セットで用意して届けてくれるミールキットサービス
⇒ 料理に必要な分を量ったり、余りが出るといった負担や悩みを解決する
= 料理好きにとっては・・・料理にチャレンジすることのハードルを下げる、料理が苦手な層にとっては・・・料理のイメージを湧きやすくする
参考:https://www.oisix.com/shop.kounyuu–oic_intro_shinki_kit__html.htm
■理由の説明
ユーザーや顧客納得感を持ってもらうための説明・コミュニケーション
(下記を考慮する必要あり)
Facebook広告の表示説明
Facebook内で表示される広告に記載される「なぜあなたにこの広告を見せているか」という説明
⇒ どんな理由で、何に基づいて表示されているかの透明性が上がる
= 自分の行動の影響範囲や、ある程度自分でコントロール可能なことがわかり、一定の納得感を醸成
参考:https://www.facebook.com/help/562973647153813
訳アリ商品
何らかの理由で、通常の価格やルートで販売できない商品
⇒ 劣っているからではなく、思いを添えて意味を持たせる(食品ロスに貢献するなど)
= 納得感を持った購入を促す
セサミクレジット
決済サービス「アリババ」の中にある、利用者の信用スコアリング機能
⇒ 財産・収入のみならず、行動面を含めて信用度合いを判断
= データの扱いへの懸念以上の利用メリットに納得させる
学び
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%9D%E9%BA%BB%E4%BF%A1%E7%94%A8
■プロセス参加
完成した商品・サービスを提供するのではなく、完成に至るプロセスに巻き込む
リビングラボ
新商品の研究を行う際、その研究成果を顧客や住民を巻き込んで一緒に考え、一緒に進めようとする取り組み(IKEAのSPACE10が有名)
⇒ サービスの受け手の顧客や地域住民が参加できる
= 見えるところで検討され、時には意思決定にも関われるため、納得感がさらに高まる
参考:https://wired.jp/2019/09/29/vol34-ikea-space10/
■使い道の明示
支払うお金がどこでどう使われるのか、その商品やサービスの購入がどのような影響を与えるかを明示する
ベルマーク
すべての子どもに等しく豊かな教育を受けさせたいという理念で1960年に始まった活動
⇒ 自分たちの学校が備品や教材を手に入れることができる and 世界の学ぶ環境が乏しい学校に一部が寄付される
= 自分のためにと誰かのための両方にメリットがあり、自然と納得感や継続を促す(e.g. TABLE FOR TWO)
参考:https://www.bellmark.or.jp/
Lemonade
2015年に設立された、ニューヨークに拠点を置く損害保険会社
⇒ 加入者が保険料として支払うお金を、保険会社のものとしてではなく、加入者のものとして扱える(支払い有無にかかわらずフェア)他、自分が興味のある分野のチャリティ団体への寄付にも活用できる
= 使い道に変な利害関係が生まれない、決めるのはあくまでも自分という納得感
EVERLANE
2011年にサンフランシスコで生まれたファッションブランド
⇒ 徹底した透明性にこだわり、販売する商品ごとに、材料費・人件費・出荷コストなど、具体的な金額を明示
= 企業の透明性・人格・作り手の顔が見え、納得感につながる、また取り組み自体に参加することでアイデンティティの形成につながる
■診断
その名の通りの診断。ユーザーにスポットライトを当てることで、納得感を醸成する
スピークバディ
GOOD DESIGN AWARD 2021を受賞したスピーキング特化型のAI英会話アプリ
⇒ 診断を通してユーザーに最適なカリキュラムを生成
= ユーザーを理解するだけではなく、AIを活用したサービス自体のイメージやレベルの高さまで伝えられ、ロイヤリティを高めている
(診断の中では、下記ポイントをしっかりと抑えている)
参考:https://www.speakbuddy.com/
大塚家具
家電量販店チェーンのヤマダHDが運営する家具販売店ブランド
⇒ 顧客の自宅や引っ越し先、新築の内覧会に同席し、家具がコーディネートとして合うか、部屋に問題なく配置できるかを診断する
= 実際に利用する現場・状況での利用目的にフィットした診断を提供
MEDULLA
診断を通して数万通りの組み合わせからユーザーに合ったシャンプー、ヘアオイルなどのヘアケアを提案するサービス
⇒ 診断後の定期カウンセリング、処方のアップデートを通して、よりフィットした体験を提供
= 使えば使うほどに自分に合うサービスになるため、離脱も防ぎ満足度も担保
■応援のリッチ化
応援したくてもできない、応援の力を発揮しきれないという制医薬を取り払い、応援体験を進化させる
少年ジャンプ+
週刊少年ジャンプが運営するアプリ
⇒ まだ知名度のない新人漫画家の作品を掲載、広告を用いて漫画家を応援する取り組みを実施
= 自分のための広告閲覧から、応援したい相手のための広告閲覧となることで、参加しやすい応援体験を提供
参考:https://shonenjumpplus.com/
フリータンク
格安SIMのmineoが提供する特定の個人ではなく、ユーザー全体とパケットを共有する仕組み
⇒ 自分に余裕があるときは、困っている人を応援できる(おすそ分けの気持ちをコメントし合える)
= 応援するにしろ、されるにしろ、助け合いが行われるコミュニティへの参加意識が高まる
BTSファン
韓国の7人組男性アイドルグループを応援する世界中のファン
⇒「ファンサブ」と呼ばれるファンのための韓国語以外の字幕作成、ファンが自主的にお金を集めて広告を出す取り組みがある
= 貢献が他ファンや公式動画の冒頭クレジットに載ることで見える化され参加意識が高まる and 言語がわからないマイノリティにも価値発揮ができる場となる
(その他、ファンの盛り上がりの要因)
■無名からの育成
無名のころから応援することで「私がいなくちゃ」という貢献感や使命感を感じる
テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)
『テニスの王子様』を原作としたミュージカル
⇒ テニミュ自体の未完成さが魅力となる
= 無名のころから私が見守り、私が育てたという気持ちを楽しめる
「(テニミュが多くの人に愛されているという現象において)何が重要だったかと言いますと、キャストの人たちの中には、当時は無名な人も含まれていたのですが、ファンたちが、そうした無名のキャストが育っていくところも含めてミュージカルを楽しみはじめたことです。結果的にテニミュ出身の人は、いまやかなりの数に上っていますが、ファンにとっては、自分たちで育て上げたんだという感覚もあるのだと思います」 出典:『ファンダムエコノミー入門』コクヨ野外学習センター
(無名な人を応援することの価値)
宝塚友の会(宝塚歌劇団のファンクラブ)
宝塚歌劇団のファンが自主的に設立したファンクラブ
⇒ 自分が推す生徒の抜擢やプロモーションを、劇団発行の読み物やポスター等の情報をもとに、ファン同士で情報を集め、交換し、推理・予測する
= 劇団の公演や発信される冗談から目が離せなくなる(自由度が低い分、そのルールに従うからこそ良い体験が得られる)
参考:https://kageki.hankyu.co.jp/friends/index.html
■差からの連帯
何かに参加する際に求められる同質性ではなく、差があるからこそ参加できるという体験
ビアボール
炭酸割りで好きなアルコール度数で飲むことを想定した度数16%の高濃度ビール
⇒ お酒が弱い人でも、ビアボールを少しだけに炭酸水をメインにして飲める
= お互いのスタイルを大事にしながら、体験を共有できる
参考:https://www.suntory.co.jp/beer/beerball/
Everytable
カリフォルニアに複数の店舗を持つ栄養バランスのとれた持ち帰り用のお弁当屋さん
⇒「栄養バランスのとれた食事を食べて健康に生きる権利は誰にもでもある」という理念のもと、同じ栄養と品質のお弁当を、富裕層の多いエリアでは高価格で、貧民層の多いエリアでは低価格で販売
= 助ける人・助けられる人を別の体験で分断させず、対等な参加意識を生む
参考:https://www.everytable.com/
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
真っ暗な空間に入り、何も見えない不安の中で、ガイドの方の案内に身をゆだねながら時間を過ごすエンターテイメント
⇒ 視覚障害のある方と同じ感じ方を経験できる、または障害のない方同士でも更なる協力関係が生まれる
= 共通の土台として、対話や交流の機会を生み出す
参考:https://did.dialogue.or.jp/
■脱顧客
「顧客だから」と絶対していた暗黙の前提の意味を見直してみる
ネスカフェ アンバサダー
オフィスやコミュニティにネスレのコーヒーメーカーを設置し、出来立てのコーヒーを楽しんでもらうサービスの導入を主導する代表者
⇒ アンバサダーとして社内での誇らしい想いや、アンバサダー同士でイベント等に参加できるコミュニティの形成など、導入自体を楽しめる
= 顧客企業を企業としてみるだけでなく、個々人の人間としてとらえ、大切にしながらも、過度なお客様扱いはせず巻き込む
参考:https://shop.nestle.jp/front/contents/ambassador/amb/
京都のお茶屋
祇園、宮川町などの花街にあるお茶屋さんのお座敷で舞妓さんや芸子さんの舞や会話を楽しむ文化
⇒ 様々あるルールの中でも有名なのは「一見さんお断り」がある ⇒ 長年のお客様がどこのどんな人が来るかわからないという不安を感じず、安心できる場所を提供する + 紹介する・されるというお客様同士の関係性の意味を守る
= 短期的に機会損失が生まれても、お客様に独自の参加意識や体験を提供する
スクラム採用
人事以外も含めた全社員が一丸となって当事者として採用を主導していくという採用に対する考え方
⇒ 人事以外のお客様扱いを変えることで、新たな体験や価値を生む(例:一緒に働く人が口説くことで内定承諾率が高まる)+口説く過程で自社の魅力に気づき、自社のことが好きになる
= 人事以外の全社員をお客様扱いせず、同じ目線で一緒に戦う仲間にすることで、自社に対する満足感が高まり、離職率の低下にもつながる
参考:https://lp.herp.cloud/about-scrum-recruiting
■貢献の余白
未完成である部分、欠けている部分を余白として残す
(よい余白5か条)
ADDress
日本各地の様々な空き家にどこでも住むことができる、住まいの定額使い放題サービス
⇒ サービスを司る「家守」(コミュニティマネージャー)から最低限のルールを伝えられる以外は、自由にサービスを利用できる
= ルールがガチガチでないからこそ、家守やユーザーから様々な提案がなされ、実施される面白みがある
NewsPicks
交流機能を兼ね備えた経済ニュースサービス
⇒ コンテンツの一部であるコメントをユーザーが自発的につけられ、編集者のような仕事の余白を、一般ユーザーに開放
= 自分のコメント・シェアが他のユーザーに役立ち、コメントやいいねが貰えることで、貢献の実感が湧く
OriHime
身体に障害をお持ちの方や、行動が制限される方々が、仕事やコミュニケーションを通して社会に参加するのをサポートするための遠隔操作型ロボット
⇒ 上記の方々が活躍する場を提供
= 自分たちが貢献する余地のないと思われた社会に対して貢献できる余白を生み出す
参考:https://orihime.orylab.com/
■ナラティブ
聞き手がストーリーを受け取ったのち、自分を語り手として再度語り直す物語の要素をエッセンスにする
Ninja DAO
忍者をモチーフにした数多くのキャラクターのNFTコレクションである「CryptoNinja」を起点に様々な活動を行っているNFTコミュニティ
⇒ 魅力的で人気のあるCryptoNinjaのキャラクターを、自由に二次創作やファンアートの対象にでき、商業理由も自由
= 派生コンテンツを通して多くのクリエイターが楽しめる & NFTを二次創作のクリエイターも所持することで、ブランド価値も保たれる
■マイルド参加
気軽で緩い参加体験を提供する(そして、しっかりとコミットしている人のやる気を失わない設計になっている)
(担保すべきポイント)
ライブゲーム
ゲーム実況の配信者と視聴者が一緒になって遊べるゲームジャンル(ただ見ているだけではなく、ゲームしている配信者をアイテム購入などでアシストする)
⇒ しっかり参加はしないけど、参加する楽しさを味わえる
= しっかり参加も、受け身の視聴もためらっていた層に、新たな体験を提供する(ゲームに限らず、参加の負担でネックになる体験に通用可能)
参考:https://www.mirrativ.co.jp/product/game
イマーシブシアター
“観客は客席、演者は舞台”という前提を崩し、顧客が物語に参加する演劇のジャンル
⇒ 舞台のものを触ったり、食べたりでき、その動きに役者たちも反応する
= 観客に没入体験を提供する
参考:https://www.tomareruengeki.com/immer
と、上に挙げた事例ですが、本書にはもっと丁寧に詳細に書かれているかつ、「エッセンスは分かったけれど、じゃあUXってどうやって考えるべきなの?」という点も端的にまとまっています。
ご興味のある方は是非に。