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頭のいい人が話す前に考えていること

基本的なこともあれど、日頃から意識できないことや改めてそうだよなーと思わせてくれる戒めが多くあり、かなり良書でした。

下記、忘れないようにメモっておきたい一節たち。

「怒っているとき」は、頭が悪くなる
怒りや恐怖など強い感情にとらわれると、愚かな行動に走りやすい。

そんな時、冷静になって思考力を回復する、つまり頭をよくする時間は6秒。反応せずにまずは6秒間待つべき。

「頭の良さは他者の認識が決める」
コミュニケーションの主体は自分ではなく、相手にあるため、どれだけ優れたアイデアでも他社に伝わらなければ、そのアイデアは存在しなかったことになる。

仏教の禅僧、イスラム教のスーフィ教徒、タルムードのラビなどの神秘家の公案に、「無人の山中で木が倒れたとき、音はするか」との問いがある。今日われわれは、答えが「否」であることを知っている。音波は発生する。だが音を感じるものがいなければ、音はしない。音は知覚されることによって音となる。ここにいう音こそ、コミュニケーションである。この答えは目新しくない。神秘家たちも知っていた。「誰も聞かなければ、音はない」と答えていた。
この昔からの答えが、今日重要な意味を持つ。
コミュニケーションが成立させるものは、受け手である。コミュニケーションの内容が発する者、すなわちコミュニケーターではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。意味のない音波しかない。
『マネジメント[エッセンシャル版]基本と原則』より

頭のいい人は論破しない、人ではなく課題と闘う
頭のいい人は、議論の勝ち負けではなく、議論の奥にある、本質的な課題を見極めようとする。

人はちゃんと考えてくれる人を信頼する。ちゃんと考えて話すというのは、”相手の言っていることから、その奥に潜む想いを想像して話す”ということ。

頭のいい人は”賢いふり”ではなく”知らないふり”をする
知識は披露するのではなく、だれかのために使って初めて知性となる。そのため、簡単にアドバイスしない、意見を言わない、とにかく相手に話してもらうことが重要。

話し出す前に”本当に相手のためになるのか?”と立ち止まることで、知識を披露したいだけ、ただ言いたいだけの自分に気づくことができる。

承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる
自分の承認欲求は抑制し、他者の承認欲求を満たすことができれば、「コミュニケーションの強者」となることが可能。

最も影響力のあった政治家の一人、田中角栄は秘書から支持者にカネを配るとき、下記のように言ったが、その真意は「候補者の自尊心を傷つけずにカネを渡す」ことが大事。

「いいか、きみが候補者にカネをくれてやるなんて気持ちが露かけらでもあれば必ず顔色に出る。そうすれば相手は百倍、千倍にも感じる。百万、二百万を届けたところで一銭の値打ちもなくなるんだ」
田中が金権政治の権化のようにいわれながらも、憎めないキャラクターと見なされるゆえんであろう。
服部龍二著『田中角栄 昭和の光と闇』より

成り立ちを知ることで客観視につながる
成り立ちを知ることは、深く考えるための足掛かりになり、人と違うアイデアや深い議論を生み出す。

e.g. 終身雇用:もともと「国・企業が労働者の生活を保障する」という、長期雇用の慣行が国全体に広まり、それに戦後に引き継がれた。そして高度成長の原動力の一つになっている。

米国政府が公開する構造化面接における質問5パターン
導入質問①:”過去に行った行動”についての質問「直面した状況にどのように対応したか?」
 └意図:将来の行動を最もよく予測するのは、同じような状況下での過去の行動

導入質問②:”仮定の状況判断”に基づく質問「仮に~このような状況に置かれたとしたら、どのようにしますか?」
 └意図:人の意図は実際の行動と密接に結びついている

深堀質問①:状況(シチュエーション)に関する質問「そのとき、どのような状況でしたか?」

深堀質問②:行動(アクション)に関する質問「そのとき、何をしましたか?」

深堀質問③:成果に関する質問「行動の結果、どのような変化がありましたか?」「何か現場で反発はありましたか?」

アンガーマネジメント

最近、些細なことで怒りっぽくなってきたなと思うことが多々あり、つい自分に嫌気がさす日々なのですが。

(そして、頑固だなと思っていた親父に似てきている感じがして、それはどことなくエモーショナルな感覚も交じってくる)(が、しかしそれはまた別の話)

ちょっと気になっていた「アンガーマネジメント」に関する本を読んでみました。

当たり前すぎるだろうということも含みつつ、方法論など、覚えておくとよいかもなと思うものがあったので、メモを残しておきます。

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・前提として、「私は、「誰か」や「何か」によって怒らされているのではなく、私は自分で「怒る」を選んでいる」と気づくことが重要。

・怒りに振り回されがちな人が足りていないのとしては、「自分だけではなく相手や周りも含め、トータルで考えた場合に、その怒りは損か、得か」という視点。

・怒りを目的達成に生かし、人生にとって有意義な方向に向けることを考えることが重要であり、それが「アンガーマネジメント」である。

・「なぜ自分は怒るのか?」の原因を徹底して追及するより、「自分は怒りをコントロールしてどのようになりたいのか?」を思い描くことが重要。

■アンガーマネジメントで利用できるテクニック

ミラクルデイ・エクササイズ
怒りをコントロールして自分の思うように感情を表現し、上手にコミュニケーションをとれたとして、その日はどのような日になるのかを想像する方法。下記の問いに対して通常運転の日との差分を具体的にイメージする。

Q1 誰が最初に自分の変化に気づくか
Q2 その人は自分のどのようなことに気づくか
Q3 その人はなぜ自分の変化に気づくか
Q4 その人は自分になんて言ってくるか
Q5 他には誰が自分の変化に気づくか
Q6 その人たちはどのようなことに気づくか
Q7 なぜその人たちは自分の変化に気づくか
Q8 変化に気づいたら、自分になんと声をかけてくるか
Q9 自分自身は自分にどんな変化に気づくか
Q10 自分の感情面ではどんな変化があるか、どのような感情を持っているか
Q11 自分の行動面ではどんな変化があるか、それはどのような行動か
Q12 自分にとって理想の日を10段階の10とすると、今日は何段階にいるか
Q13 どうしてそのように思うのか
Q14 自分の理想の日に最も近い日があったら、それは10段階のうち何段階か
Q15 その日は何をしていたか
Q16 誰と一緒にいたか
Q17 その人は自分のことをどう思っていたか

24時間アクトカーム
実際の生活の中で、「感情はどのようであったとしても、表面的にはとにかく24時間穏やかにふるまう」という方法。自分が怒らないと周囲はこんな反応をするのか、ということを実際に体感することが目的。

ストップシンキング
文字通りすべての思考を止めること。怒りの感情のもとになる出来事の意味づけや、思考そのものを停止すること。

ディレイテクニック
怒りの反応を遅らせること。例えば、怒りを感じた瞬間、何も考えずに深くゆっくり深呼吸をする。あるいはカウントバックとして100から3ずつ引いていく逆算を頭の中でする(100,97,94…)。とにかく頭の中をちょっと手のかかる計算で埋めることがポイント。

コーピングマントラ
コーピングは「対処」、マントラは「呪文」。怒りを感じた時に自分の中で言葉を唱えることで自分を落ち着かせる方法。

グラウンディング
意識を「今」、「この場所」に釘付けにするテクニック。例えば、手に持っているペンを真剣に観察している間、イライラを感じた過去や、怒りを晴らしてやろうと思う未来にはいかなくなることで、怒りの意識を薄くしていく。

タイムアウト
退却戦略として、今いる場所からしばらく離れて頭を冷やす。ルールとして、タイムアウトをする際は、まずは相手にタイムアウトをとることを伝える、そして一定の時間を置いたら戻ってくることを約束し、戻ってきた後に議論の続きをする約束をする。

スケールテクニック
怒りの強さを自分なりに測ってみる。例えばレベル3なら対処法としてこれをする、レベル7ならこれをするといったように。

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その他、アンガーログといった怒りの感情を紙に書きだすことも効果的とのこと。

自己流の対処法を身に着けられるように頑張ろう。



今回参考にした本はこちら。

ノーススターメトリック

よく使うものの、正直KPIとの違い等の解像度が低いままだったワードなのですが、最近たまたま読んでいた本にいいまとめがあったのでメモとして残しておきます。

そもそもノーススターメトリックとは?

「ノーススターメトリック」は、ビジネス本来の目的を見失わないようにするためのものであり、「プロダクトが顧客に対して価値提供できているかどうかを測るただ一つの」指標

売り上げなどのビジネスの業績だけではなく、顧客側が体験する価値も向上する指標でなければならない。ノーススターメトリックを定めることで、組織全体を正しい方角へ推し進められるようになる。

例えば、slackでは「2,000回以上メッセージを交わしたグループの数」をノーススターメトリックに設定。
→ ユーザーがグループ内で繰り返しメッセージを交わしていることは、コミュニケーションツールとしての価値を感じてもらえている証明。
→ 反対に、「新規アカウント開設す宇」などは適さない。アカウント数がどれだけ増えようが、顧客側が体験する価値向上とは無関係。

ノーススターメトリックは「サービスを通じて人々の生活をこんな風に変えていきたい」という組織のビジョンを反映した指標。メトリックが誤っていた、事業内容が大きく変わったという場合を除き、基本的には長期にわたって追いかける。

KGI・KPIとの違い

KGI・KPIはあくまでも「企業目線」での評価指標。言うまでもなく、ビジネスの売上の伸びが顧客への価値提供を上回るようなビジネスは持続可能ではない。

企業目線での価値ではなく、顧客側から見た価値をも考慮した指標がノーススターメトリック。

世界的企業のノーススターメトリックの例

facebook・・・10日以内に7人以上の友達を追加したユーザーの割合
Airbnb・・・宿泊予約数
Spotify・・・音楽の総再生時間
Uber・・・乗車予約数
Netflix・・・1か月あたり動画総視聴時間の中央値
Slack・・・2,000回メッセージを交わしたグループの数
Amazon・・・1か月あたりの購入回数
Zoom・・・毎週開催されるミーティングの数

優れたノーススターメトリックが持つ6つの特徴

by 「Amplitude」のエヴァンジェリストの定義

①:価値を表す
「顧客が自社プロダクトのどこに価値を見出すのか」を表している。

②:プロダクトのビジョンと戦略を象徴する
この先、組織が成長して実現させたいこと(事業のビジョン)や、プロダクトを通じて何を実現させたいのか(戦略)が指標から見て取れる。

③:成功へ導く指標である
将来のパフォーマンスに影響を与える「先行指標」である。測定していても次のアクションにつながらない「遅行指標」ではない。

先行指標・・・将来の成長に影響を与える指標 例:商品購入回数、有料会員からの購入数、月間のコンテンツ総再生時間 など
遅行指標・・・ユーザーの行動結果/虚構の指標 例:売り上げ、ダウンロード数、ページビュー数 など

④:実行可能である
自分たちが影響を与えられる指標である。市場のトレンドや競合の動向など、プロダクトとは関係のない外部要因に左右されるようなものであってはならない。

⑤:誰もが理解できる
組織にいる誰もがすぐに理解できる。簡単に説明できなかったり、わかりやすい言葉で表現できないような、難解で抽象的なものであってはならない。

⑥:計測可能である
顧客にとっての価値を示す強力な指標だと思えたとしても、実際に数値で測定できないのであれば、それは良いメトリックではない。
(ただし「今あるツール」で測定できないだけで、新たなツールに投資することで測定できるようになるかもしれない)

ノーススターメトリックからKPIを設計する

KPIはノーススターメトリックを「広がり」「深さ」「頻度」「効率」の4つに因数分解することで求められる。

広がり(Breadth):ユーザー数(アクティブユーザーの数) KPI例:会員数、視聴者数
 ×
深さ(Depth):エンゲージメントレベル(ユーザー体験のレベルの深さ) KPI例:顧客単価、長時間
 ×
頻度(Frequency):再訪頻度(ユーザーがアクションを起こす頻度) KPI例:リピート回数、視聴回数
 ×
効率(Efficiency):タスク完了までの速さ(ユーザーが価値を感じるまでの時間) KPI例:初回購入までの日数

しかし、KPIを個別最適に追いすぎてしまった場合、数値は伸びてもユーザー価値が向上しないといったケースが発生してしまう。

その場合のポイントは、ノーススターメトリックやKPIを最適化し過ぎて、顧客・ビジネスに不利益を与えていないかを確認するための指標「カウンターメトリック」を設定すること。

<カウンターメトリックの例>
・メルマガの開封率が向上したら、解除率を見る
・広告のクリック率が向上したら、その先のコンバージョン率を見る
・無料トライアル会員の登録率が向上したら、有料会員の登録率を見る
・サイトの広告収益が向上したら、NPSを見る

カウンターメトリック自体は常に一定の数値を示すわけではないため、チームが改善に取り組む際の数値範囲を定めておくと運用がラク。

今回読んだ本はこちら。