YEBISU GARDEN CINENAにて鑑賞。
この劇場、かなりいいですね。座り心地が格別によいし、上映している作品のセンスも素晴らしい。
ましてや、施設内がしゃれおつ。かなりデート向きだな…。(また行きたいので、誰か一緒に行きましょう)
ようやく観ました。
本年度アカデミー賞脚本賞、主演男優賞受賞の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」。
かなり言語化しにくいというか、正直まとまってないですが、せっかくなので感想でも。(ネタバレしないよう頑張る)
(しかし、相当にネタバレして話したい作品なので、観た方はぜひお茶でもしましょう)
あらすじは下記を参照。
ボストン郊外で便利屋として生計を立てている主人公が、兄の死をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーへと戻り、16歳の甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく―。
ん?どうして「マンチェスター」ではなく「マンチェスター・バイ・ザ・シー」なん?と、思う方も多いはず(多分)
(そのままだと、海沿いの街・マンチェスターだしな。)
こちら実は、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」が町の正式名称らしい。
マンチェスター・バイ・ザ・シー (Manchester-by-the-Sea)、または単にマンチェスター (Manchester) とは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州エセックス郡ケープアン(英語版)に位置する町である。景色のいい浜辺や景勝地で知られる。2010年のアメリカ合衆国国勢調査によると人口は5,136人だった[1]。
(上記を知らずに観たため、あれ、イギリス?アメリカ?と脳が混乱しまくっていた)(お気をつけあれ)
主人公がここまで幾重にも、そして、静かに葛藤している作品は初めてかもしれない。
全てが優しくて、いちいち沁みてしまう作品でしたね。主人公のその姿勢に共感しかしなかった。
そんな作風の中で、クスッと笑えるシーンを入れるのは本当にずるい。そのコントラストが絶妙によい。(友人宅でお母さんと話が続かないシーンとか)
とりあえず、ケイシー・アフレック、イケメンすぎないか…。お兄ちゃんよりも確実にイケメン。
(母が勝手にイケメンイケメン盛り上がっていたけれど、ようやく納得できた)
最初、この作品の主演はマット・デイモンがやるはずだったらしいけれど、実際に観てしまうと彼であってよかった!!!と思える作品。彼しかありえない。
罪を咎められることさえも許されないという、計り知れないほどの苦悩を抱えるものの、つべこべ騒がずに背中で語るその佇まい。相当グッときました。
瓶ビールを飲む、その何気ない仕草すらかっこよく映ってしまう。(鑑賞後、思わず東急ストアでカールスバーグ買いました)
そしてなんといっても、元妻と再会するシーンのあの苦悶とした表情。。。。その芝居に思わず打ちのめされる方も多いはず。(予告編に映っているからネタバレではないはず)
本作の舞台である、マンチェスター・バイ・ザ・シーの薄靄かかったような冬景色は、主人公の心理状態を表しているんでしょうね。
とはいえ、田舎×アメリカの男性ってどうしてこうも暴力的なんだろう。(おーい!と思うシーンも多い)
また、お兄ちゃん役のカイル・チャンドラーがかなりよい。
最近だと「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で主人公を追い詰めるFBI役が印象的かなー。やさしさがこれでもか、とにじみ出た顔。今回の役どころにもぴったりとマッチ。
今年で51歳。ダンディやな。
真に深すぎる傷は、きっと癒えることがない。忘れ去ることなんてもってのほか。
だからこそ、主人公はあの日からずっと苦悩している。思わず自殺を選びたくなるほどに。
しかし、背負ってしまった罪を無理に忘れようする必要はなく、どん底に落ちたと感じている時でも、希望は湧いてくる。
甥(=自分の命よりも大事なもの)を弟に託すという決断。
そのことで、主人公は救われるんですね。
甥との関係性が深まるにつれ、主人公の心にもひとずじの光が差す。劇的な変化はないものの、少しずつ前に進んでいく。
心温まるような優しい映像・音楽と、表情一つで演じ切れてしまう素晴らしい演者で、上記テーマを綺麗ごとにすることなく描ききっている点。
その一つ一つがいたって人間らしく(人間臭く)、リアリティがあって、心が解れる感覚でした。
そりゃ、脚本賞とりますわ。笑
(こういった人生のままならなさを描いた作品は好みですね。)
にしても、これほどネタバレができない作品も久しぶり。彼がマンチェスター・バイ・ザ・シーに住めないその理由。
許すことも責めることもできず、人生で一番といって良いほどに重いその理由。(まさかの同語反復、笑)
真相はぜひご覧あれ。
「お前が遊びにくる」
このセリフがよかった。
そしてラストシーン、かなり印象深かったな。