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湯を沸かすほどの熱い愛

自分は普段あまり泣けないたちで、絶対泣ける!とか基本信じてないんですが、唯一にボロボロに泣いてしまった作品がこの「湯を沸かすほどの熱い愛」。

http://atsui-ai.com/

ちなみに自分は、泣ける映画の定番と呼ばれている「アイ・アム・サム」では全く泣けず、去年泣いた覚えがあるのは「アバウト・タイム」、初めて劇場で泣いたのは「A.I.」といった人間です。(いやぁ、懐かしきハーレイ・ジョエル・オスメントくん) まぁ自分の話はこんな感じで。

あらすじは下記の通り。

死にゆく母の熱い想いと、想像もつかない驚きのラストに、涙と生きる力がほとばしる家族の愛の物語。 銭湯「幸 さちの湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔 し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め、実行していく。 家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる。 気が優しすぎる娘を独り立ちさせる。 娘をある人に会わせる。 その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。そして家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。

なぜここまで泣けたんだろう。。。と、ぼんやりと考えていたのだけれど、おそらくこの作品では「悲しさ」で泣いていたわけではないからなんだな、と思いました。

“死の悲しさ”ではなく、どちらかというと”生きる強さ”、その熱すぎる情熱に胸を打たれて泣いてしまっているからであると。

生きること、立ち向かうこと、ぶつかり合うことを決して諦めない主人公。会わずともネットでコミュニケーションが済んでしまう現代だからこそ、その姿勢が響いてしまう。いやぁ、もう一度観たくなってきた。

また、この作品のすごいところが、めちゃくちゃしっかりと伏線を回収しているところ。ミステリー作品かと思うくらい、きれーーーにまとまっているかつ、観客を迷わせる部分も用意しているところがなんというか、ズルい。笑 成立しすぎている。

ひとまずもう悩んでる時間もない(そろそろ上映が終わる気がする)ので、さっさと観てほしいです。ええ、観ましょう。みなさま。

そしてできれば、レビューとか、(上に貼っちゃってるけど)予告とかは全く観ないで観てほしいです。はい。

ちなみに、DVD作品で泣いたのも一本のみ。それが下記。

シティ・ポップ独特のやるせなさがいい。

最近、いわゆる「シティ・ポップ」という類が好きらしい。とはいえ、定義はよくわからん。ということでひとまず調べてみる。

シティ・ポップとは、日本のポピュラー音楽のジャンルのひとつ。 主に1980年代に流行した、都会的なイメージを前面に出したポップスを指す。ムード歌謡をよりポップで現代的にしたものや、高年齢層へのアピールを強く意識したソフトなロックなどの総称である。「和製AOR」などとも呼ばれる。

上記はwikipedia先生参照。

きっかけは、今年のVIVA LA ROCKで、Suchmosあたりを聴いたのと、back numberのボーカルがAwesome City Clubを聴いているのを知ったから。例えば下のやつとか。

このボーカルの絶妙な気持ち悪さがポイント。非常にジャミロクワイチック。

おしゃな日常を送ってるんだろうなぁ、この人たち。

かわいい。

うん、かわいい。

なんか落ち着くんだろうな、あまり無理して歌ってないところとか。歌詞も重たくなくて、アーティスト自体も非常にファッショナブルでなんだかイマドキというか。(カタカナ多い。笑)

そんな中でも自分は、独特の軽やかさとゆるさ、そして、やるせなさを感じる曲が好きらしい。下記はその中でも大好きな4曲。

これはもうおしゃれすぎる、超popeye系男子。

あとの3つは夜に聴きたい曲。

浮遊感最高。

帰宅途中に聴いてしまう。番組?ラジオ?で、乃木坂の橋本奈々がオススメしてたとか。いいセンスやなー。

永い言い訳

愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくないなぁと思いました。

西川美和先生は、2011年頃に本作の着想を得たそう。何気なく築いてきた関係性が、何の予兆もなく急に壊れてしまう。

辛い別れの経験は、多くの場合誰にも語られず、残された人の胸のうちで孤独にわだかまり、自らを責め続け、癒えることがない。

その永遠とさえ思える重責は、泣いて済むだけのものでもない。(実際に主人公は全く泣けてない)

どうして”長い”ではなく”永い”なんだろう。と考えていたけれど、長いには終わりがあるのに対して、永いは永遠に続くからなのかと。人間は永遠に自分の行動を正当化し、”言い訳”をし続ける。

そんな中、最愛の妻が亡くなった途端、今までついてきた言い訳を振り返る機会が生まれる。その点、今まで見逃してきた大事な点に気付き始め、後悔し、生き方を考え直す。

本木くんは、難しい主人公の役どころを本当にうまく演じていたと思う。クズっぷりを見せつつもどうも憎めない。それは、彼の行動や姿勢(例えばネットでの検索、子供と触れて親の顔になっていくこと)に共感してしまうから。

リアルすぎるからなのか、キャスト一人残らず演技に違和感がない。特にすごいのが子役。そのタイミングでそんなにうまく無視するかぁ…と思わず感服。

荒んだ大人が無垢な子供と出会って、戸惑いつつも生きていく描写は”レオン”を、小説家が主人公で…(ネタバレなので省略)ってのは”ルビー・スパークス”を、全体的な撮り方・音楽には”そして父になる”を想起。と思ったら、是枝監督が本当に手伝ってるのね。

いい映画だと思った、もしくは制作意図が気になった方は、絶対にパンフレットを買いましょう。

最後に、ちゃぷちゃぷローリーの脚本を西川美和先生がやってるのは、結構笑いました。