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水谷豊の怪演にしびれる「少年H」。

少年Hを見ました。

テレビ朝日開局55周年記念作品ということで、スマステーションに水谷豊と伊藤蘭が出演するなど、宣伝にも力が入った作品。

8月に入って劇場で見るのは、風立ちぬ、モンスターズ・ユニバーシティに次いで三本目。

評価の高い作品しか見てないからなのかもしれないけれど、とても良かったです。

相棒シリーズを見てない自分にとって、水谷豊の演技がどんなものか知らずに見ることになったけども、これまた素晴らしい。

また、キャストの中では、主人公Hが通う小学校の先生役を演じた安田大サーカスの団長、軍事学校の長官役を演じた原田泰造はものすごくはまり役。

そして、ほんの少しの出演だったにも関わらず、これほど印象に残る濱田岳はやはり天才だと思います。

最近戦争をテーマにした作品を、比較的良く見るのですが、この作品は、戦争に勝った負けたではなくて、戦争がいかに無駄なことか。どれ程多くの命が犠牲となり、また、どれ程国民を支配し生き辛い世の中にしていったのかに対して、当時の国民に対して、先祖に対して悔やまれる思いを抱きます。

それでも主人公の父をはじめとする主人公の家族は、戦争下をとても逞しく生き抜きます。

劇中で、戦争が終わり、戦前に大日本帝国万歳と散々言っていた人々が、戦後には打って変わって民主主義を提唱し、軍人ではなく元々の職業で生きていくという変わり果てた日本の中で、自らに迷った結果、水谷豊演ずる主人公の父親が、”クヨクヨするのはもうやめにしよう”と主人公Hに告げるシーン。

きっとこの作品で一番言いたいことは、”新しい一歩を踏み出そう”ということなんじゃないかと思います。

そのことが、戦争というバックグラウンドの中、愛に満ちた素晴らしい家族に焦点を当てることで、十分過ぎる程に表現されており、とても感動しました。

クスッと笑える場面もあり、家族愛の温かさに感動する場面もあり、全体的なバランスが良く、演技も素晴らしい。
とても見る価値のある作品だと思うので、自分が足を運んだ劇場でも年配の方の客層多い気がしましたが、この国で、今から50年ほど前に何があって、人々の思想に自由がなく、メディアも麻痺している国であったこと等を、ぜひ幅広い世代に知ってほしいと思います。

やはり、家族愛を描いた作品は良いですね。すごく好きな作品の一つになりました。