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みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

働き方研究家の西村佳哲さんの著書。奈良の図書館で開催された「自分の仕事」について考えるフォーラム。そこで行われた8名のゲストとの対談を掲載。

西村さんの本でいうと、下記文章が印象的。

ところで、私たちが会社から仕事を買っているとしたら、そこで支払っている対価はなんだろう。それは「時間」である。そして時間とは、私たちの「いのち」そのものである。

実は自分はこの言葉がキッカケに、大学で「仕事論」を学び始めたということもあったり。確かこの本

今回紹介する本作でも、思わずハッとさせられる一節が多い。ので、記録的にご紹介。

1.誰に向いて働くんだっけ?というお話

…売上げを何十億と増やしていくより、うちのような規模のところが増えたらいいと思っています。そうしたらマーケットが広がりますよね。世界のフェアトレード業界の趨勢は、最近は拡大志向です。普通の企業のように力をつけようとしている。でも大きくなると組織は腐敗していく。最初の目的がおかしくなって、生き残ることが目的のようになってしまう。私たちは「生産者が北極星だ」ってよく言うんです。判断に迷った時は、常に生産者を見ましょうって。彼らにとって良いか悪いか。それも目の前のことではなく、5年後、10年後にどうだろうって。…

2.まずは3年続けろ?というお話

…子どもの頃から本が大好きで、就職の面接でも「編集者になりたい」と言っていて。「君、編集の仕事をわかってんの?」って副社長に質問されて、「いやわかってないです」と答えたのを憶えている。本当にわかってなかった。
 でも始めてみたらめちゃめちゃ楽しい。文章を読んで、その書き手に共感して、一緒に本を作りたいと手紙を書いて、意気投合する瞬間があって。そして、最初の打合せの時には想像もできなかったものが形になることが結構ある。働きながら、「僕は日本一楽しい仕事をしている!」っていう思いが、いきなりガーンときていました。
 人が3年かかると言うところを1年でと、土日も返上して仕事に燃えていた。けどある日、「最近旅してない」って気づいたんです。
 僕は学生の頃から旅が好きで、就職の直前も一ヶ月くらい中国を放浪していた。会社に入った後もその旅から戻った勢いのまま働いて、何冊も本をつくって、いくつかは話題になったり売れてもいたけれど、自分がどんどん社会化されてゆく感覚が一方にあって。
 売れるとか売れないとかそういうことより、本気で「面白い」と思うことや、内側から湧き出てくるものを追求しなけりゃ。無休で働いてはいるけど動いてないな・・・と思った瞬間、辞めたんです。辞表には「世界進出のため」って書いて。…

3.お金と関係性のお話

…言い訳としては、「お金が要る」とか「行き先はどうするんだ」とか。考えるといろいろ出てくるので、「もうちょい先だな」って。でも要するに腹が決まってなかったんですよ。
 次の建国記念日にしようって。お金はなかったけど、ないから出来る旅もあるなって考え方が変わって。お金ない方が僕らしい旅ができるんじゃないかなと。
 ヤップ島以来、お金のことを考えていたんです。お金ってけっこう関係性を切るんじゃないかって。お金があれば、誰に会わなくても、口もきかなくても旅が出来る。払えば泊めてもらえるし、電車にもバスにも乗れるし、別に何のコミュニケーションも要らないじゃないですか。僕は人間弱いですから、お金があったらそういう楽な方を選ぶんじゃないか。逆にお金がなかったら、いちいち人と関わることになる。それは今の自分に必要なことでもあるなと思って。実際なかった。部屋の敷金が返ってきて、それが所持金のほとんどでした。…

4.首都圏からは見えない東京のお話

…日々農産物を収穫しながら、「つくった米を盛る器も自分で作らないと」って、登り窯をこしらえて焼いてたり。最近は富山大学の研究室と一緒に山の水を活かした小水力発電の実験もしていて、電気自動車を走らせていたり。彼らを見ていると、限界どころか希望しか見えなかった。
 奥さんと話していた時、彼女にボソッと「東京こそが限界だと思うのよね」って言われて。言い返せないというか、グサッと刺さって。
 地域活性化ってよく言うけれど、多くの場合、どうやって経済を回すかという話になりがちですよね。でもお金が回って、人が多くなって、ヒト・モノ・カネが揃えば活性化するなら、そのモデルは東京になります。その東京で本当にみんな幸せに生きているのかっていうと、いや、いると思いますけど、東京で豊かに暮らせている人たちは結構お金のある人たちだと思う。
…今、水俣は国内有数の環境モデル都市で、世界的にも有名で。公害問題が深刻化した当時は、住んでいた人たちも「水俣」っていうアイデンティティを消したくて、街から出れる人たちはみんな余所へ移ってしまったり、人々の多くが地域と向かい合っていなかった。けど今は”環境”というキーワードで、新しいつながりが生まれている。無農薬のお茶をつくっているとか、無添加の海産物をつくっているとか、そういう人たちが集まっていて。会う人会う人が、みんな輝きを放っていたんです。
 希望を見ようとした瞬間に、絶望さえ希望に変わって、一人の人間が変わって、それが周囲も変えていって。そんな姿を見ていると、限界っていうのは物理的な条件のことじゃあないなって。…
…僕は今まで、「あれがあったら幸せになれるのに」とか「お金があったらいい暮らしができる」とか、そういう考え方を繰り返してきた感じがする。肩書きや職業のようなものも含めて。
 でも彼らは、なにかによって幸せになろうとしてないんですよね。この世界で生きていくって、腹が決まっているんですよ。そこで生きてゆかなければならない。ということを受け入れて、その上でいかに良い人生を送るかっていう覚悟が感じられて。僕が訪ねた地域には、そういう人が多かった。彼らはないものねだりをしていない。そして誰によって「限界」と決められることもなく、その状況の中で、思い思いに生きている。それでいいんじゃないかって。…

5.教育ってどうあるべきだっけ?というお話

…そして経済軸の判断は、どんどんプロセスを省略する方へいく。効率のいい方へ仕事の中味がショートカットされていって、その極端な形が「お金をお金で買う」ビジネスです。会社買うたりね。汗をかく必要がない。
 それは人間を、それも若者や子どもを損なっていく致命的な考え方だと思うんですよ。「こういう勉強して何になんねん?」みたいなことを言う。消費と同じ要領で、教育にコストパフォーマンスを求めている。でも本来、学ぶということは、自分が何をわかっていないかもわかっていないわけです。その初めの時点で「何になんねん?」なんて問いを立てていたら、何にもならへんだろうし、誰にも学ぶ必要ないじゃないですか。…

その他にも、なるほど。と思わせられることが多い一冊。

今の仕事をどうしようか。と考えている自分には割と刺さったな。

「働く」に関する35の引用

メモとして。

準備というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していくこと。 
-イチロー

好きなこと、やりたいことが見つからない人もいると聞くとびっくりするんです。会社が決まって始めて仕事の中身が決まるというのも、不思議でしょうがない。好きなこと、やりたいことを仕事にしたほうが、きっと人生は楽しいと僕は思うからです。世の中に、何もしたくないという人はいないはずです。やりたいこと、好きなことはきっとある。それを素直に、仕事選びのヒントにすればいいと思うんです。(中略)小さいときには、必ず好きなものがあったはずです。ところが大人になっていろんなものを身に付けると、純粋に好きなものを、自分から遠ざけてしまうことが多い。好きなものと仕事とは別物だと考えたりしてね。でも、そんなことはないんです。仕事でも何でも、面白いものは面白いんです。僕なんて仕事なのに、『またこんなによく描けちゃったなぁ。まいったなぁ』なんて、一人で悦に入ったりしていることもよくあります。 
-安西永丸

みんな普通の人間だから、本人は偉くない。ただ、大きな組織でトップにいると、周りが注目する。その注目が光になって集まり、自分はそれを反射しているだけだ。いくら偉くても自分からは光が出ていないが、光が集まれば自分から光が出ている気になる 
-楠木建

遊びたければ自分で遊び場をつくる、お金がほしければ自分で仕事をつくる、これからは、そうなっていくでしょう。当然に用意されているような顔して乗っかって、問題があったら文句を言うだけ、なんてあまりに子供か、消費者根性が染みつきすぎ。 
-山崎なし

わたしたちは有名になりたいと思っている。小説家や詩人や画家や政治家や歌手や、そのほかいろんなものになって、みんなに認められたいと思っている。なぜだろう。それは、自分のしていることがほんとうには好きではないからだ。もし物語を書くことが好きなら、詩を書き、歌をうたうことが好きならーそれも、心から好きならー、自分が有名かどうかなんて気にならないはずだ。・・・現在の教育は腐っている。なぜなら、きみたちに「自分のしていることは好きでなくともかまわない。成功を好きになりなさい」と教えているからだ。行動よりも、結果のほうが大切になってしまっているからだ。 
-クリシュナムルティ

言葉を発する人が自分に課すべきルールNo1は「自分が言わなければ同じことを言う人が他にいないこと」を選択的に語るということです。「自分が言わなくても誰かが代わって言ってくれそうなこと」のために割く時間があるほど人生は長くありません。 
-内田樹

まだ準備ができていなくても、「その時がその時である」ということ。思考はいつも、今ここにいる自分よりほんの少し古い。 
-西村佳哲

「やればできる子」は「やらなくてもできる子」と「できなくてもやる子」にチャンスを奪われ続けて一生を終えるのである 
-野村真一

なんで都会生まれ都会育ちなうえ都会で定年まで働いた人の「自分らしさ」が南の島にあると思うんだよ 
-Twitter / nanaoku_h

空気なんか読む時間とヒマがあったら、もっともっと本を読め、と私は言いたい。本を読むことで自分を読むのです。これは顔色なんか読むよりもずっと大事なこと。 
-小飼弾「空気を読むな、本を読め。」

ステージに上がったとき、自分が一番上手いと思え。ステージを降りているとき、自分は一番下手だと思え。 
-エリック・クラプトン

人の苦労なんて、いくら聞かされたって成長しません。自分で苦労しなさい。 
-瀬戸雄三

目指しているゴールと、今、自分が立っている地点との距離は、通常とても離れています。そして、その時点からゴールに辿り着くまでのステップや道筋も、見えていないことが大半です。でも、その間の道筋が全部きれいに見えてから歩き始めようと考えている人が、ゴールに辿り着くことは決してありません。
辿り着けるのは、ほのかに見えるゴールに向けて、今できることを実際にやってみる人、最初の一歩を踏み出してみる人です。なぜなら、実際に一歩を踏み出すと、そうする前には見えなかった「その次のステップ」が見えてくるからです。それをひとつずつ進んでいくと、ある日ゴールに辿り着くんです。 
-ちきりん

若い人に言いたいのは、「自分が犠牲になっていくらかの人を幸せにするよりも、いくらかの人を切って自分を幸せにすること」を選べということ。自分の不幸の上に成り立った人の幸せの数より、自分が幸せになることによって人を幸せにできる数のほうがずっと多いよ。 
-小池一夫

努力をすれば報われると本人が思っているとしたら残念。第三者が見ていると努力に見えるが本人にとっては全くそうでない、という状態になくてはならない。 
-イチロー

怒るのは自分の知恵の足りなさを認めるようなものです。 
-孫正義

そもそも、やりたいことがない、っていうのは、本当にそんなにダメなことなんだろうか。私は、そう思わない。やりたいことなんてなくてもいい。むしろないほうがいいとすら思っている。あんまり今の自分のやりたいことに凝り固まってしまうと、自分もまだ知らない、本当の自分のやりたいことを、見のがしてしまう。 
-玄田有史「ニート」

新商品を見て「この武器で、地球は守れるのか?」と聞いた上司。 
-バンダイ/三浦北斗

成功者と失敗者の大きな違いはこの言葉を言うかどうかです。「時間がなかったんだ」成功者はこの言葉を使いません。 
-フランク・フィールド

師を見るな。師が見ているものを見よ 
-内田樹

楽しいと楽は対極だよ。楽しいことがしたいなら、楽はしちゃダメだと思うよ。 
-甲本ヒロト

年を取ったから遊ばなくなるのではない。遊ばなくなるから年を取るのだ。 
-シメキリまで、仕事をするな

たとえばスティーブ・ジョブズという人を見たときに、彼は決して何かをやる人ではないんです。自分でプログラムを書くわけでもないし、自分がマテリアルに詳しいわけでもない。彼のマネジメントの仕方は「マネジメント・バイ・ウォーキングアラウンド」というわけで、ただ車内を歩き回って「どうだい」って言っているだけなのです。…
…でもいま、こうやって歩き回ってぽんと肩叩いて「どうだい、調子は」って言っているような人って、組織の中だと評価されにくいんですね。あいつは何やってるんだ、何の専門なんだとか言われてしまうのです。日本の会社にデザイン力がないと言われる原因は、端的にコミュニケーション力のなさだと思います。ジョブズみたいに全部をつないでいる人がいないと、iPadのようなものってできないんです。 
-茂木健一郎

「おまかせ」は、なんでもいいってことじゃなくて、死ぬ気でつくってね、ってことなんだ。 
-箭内道彦

『毎日を人生最後の日だ』と思って生きてみなさい。いつかそれが正しいとわかる。 
-スティーブ・ジョブズ

「負けました」といって頭を下げるのが正しい投了の仕方。つらい瞬間です。
でも「負けました」とはっきり言える人はプロでも強くなる。これをいいかげんにしている人は上にいけません。 
-谷川浩司

恋人に文句があるなら別れればいいし、会社に文句があれば辞めればいい。あなたの恋人や、あなたの勤め先が、あなたの実力。 
-藤沢数希

人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんできめなくてはならないからだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。 
-ミヒャエル・エンデ「モモ」

わたしは、自分自身を完全に使いきってから死にたいと思っている。身を粉にして働くほど、充実した人生が送れるからだ。わたしにとっては、人生それ自体が喜びなのである。 
-ジョージ・バーナード・ショー

大人って、たいしたことないなと、思います。大人もやはり、自分が掴めなくて、見えなくて、思うようにならなくて、けっこう足掻いているものなのだと、大人になって知りました。 
-あさのあつこ

そもそも働いてみないと好きなことは見つからないのではないだろうか。働いてみると、嫌いだと思っていた仕事が好きになったり、好きだと思っていた仕事がそうでもなくなったりするのではないだろうか。働かずに好きな仕事をみつけようというのは、まさに畳の上の水泳である。まずは水の中に飛び込まないと何も始まらないのである。 
-三浦展「仕事もしなければ、自分は見つからない」

周囲の人からそれなりの評判を得るには、20年かかる。だがその評判は、5分で崩れる事がある。そのことを頭に入れておけば、今後の生き方が変わるはずだ。 
-ウォーレン・バフェット

あなたの夢を、そんなこと無理だっていう人いるでしょ。
こう言い返してやりなさい。
あなたには無理ね、でもわたしはできるの。
あなたとわたしはちがうから、って。
でも言ったからには
夢をかなえなきゃいけないことも覚えておきなさいよ。
でかい口たたくんだから。 
-リトルミィ / ムーミン

ところで、私たちが会社から仕事を買っているとしたら、そこで支払っている対価はなんだろう。それは「時間」である。そして時間とは、私たちの「いのち」そのものである。 
-西村佳哲

何かを始めるためには、しゃべるのをやめて行動し始めなければならない。 
-ウォルト・ディズニー