6才のボクが、大人になるまで。


やっと観ました。タイトルが好きなのでそのまま使います。

ストーリーは下記の通り。

メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ……。

この作品にストーリー的な面白さ、展開を求めるのは相当野暮ですね。
ジェットコースター的な展開を求める方は見ないほうがいいです。なぜなら、この作品の主役は「時間」だから。

とりあえず、12年にわたって同じキャストで撮ってみようというその発想。
そして、それと同等かそれ以上に、それを快諾したキャストがすごい。

特に主人公。彼は撮影開始当初、6歳ですからね。もはや意味がわからなかったんじゃないかと。(実際、インタビューで途切れ途切れにしか記憶がない。って言ってますね。)

で、それと同時に、その主人公をキャスティングした監督もすごい。。。
12年が経ち、最後18歳で迎えるエンディングには、それはまたまた美形な男子になっているという。
ジャニーさん的な感じでしょうか。亀梨くんとかがジュニアに入りたての時と比べて格段にカッコよくなっている的な。

その上でさらに凄いのは、主役の男の子が成長するにつれ、どことなく父親役のイーサン・ホークとも似てくるという。なんなんだこれ。

(イーサン・ホーク出演作では「GATTACA」がオススメなので、興味がある方はぜひ。2011年にNASAが選ぶ「もっとも現実的なSF映画ランキング」で第一位に輝いた作品です)

子役を使う必要もなく、特殊メイクもない。加齢や生成変化によったリアルな「時間の経過」を感じる。

キャストがもういやだ!と言いだすとか、不慮の事故に襲われるとかなかったんですかね。
12年なのでこれほどのキャストを抱えたら確率的にもあっても全くおかしくないはずよね。

まさしく幸運に恵まれたというか、ある意味「奇跡的な」映画だと思いました。

テーマはおそらく人生の長さにおける「瞬間」について。

主人公を通して覗くリアルな12年という「瞬間」の積み重ね。
「12年」って聞くと確かにかなり長く感じる。けれど「12年間生きてきた中での”一瞬”」とは。

2000年のヒット曲コールドプレイの「Yellow」で始まり、ドラゴンボール、ハリーポッター、iMac、iPod、Wii、レディーガガ、フェイスブックなどのカルチャーをちらりと見せ、911、サブプライム、オバマ大統領戦などの世相も織り交ぜることで、時の流れを感じさせているところもわざとらしくなくていい。

そしてもう一つ「家族」についての映画でしたね。

主人公と同様に、両親と姉にも等しく時は流れる。
ガキっぽい父がそれなりにしっかりし、母はこれまでの人生に嘆き、姉は今を楽しむ。

「これまで生きてきた中で大ニュースをあげるとすれば結婚して、出産して、離婚して、資格を取っていい職に就いて、…。人生ってもっと長いと思ってた。と母が嘆くシーン。

自分もそんな言葉を発するんだろうか。
そして、自分の両親はどう思ってるんだろう、と考えさせられました。

「いい映画はただ見るだけではなく、体験するものだ」
と、誰かが言っていたけれど(誰だっけ)、こんなに豊かでパーソナルな体験を実感できる作品はないと思いますね。

只々ぼーっと観ていると、そのまま通り過ぎてしまうくらい何気なく発せられている、人生の教訓めいた言葉。
ゆえに大きな衝撃はない。けれど、それがまた良い。何度も観返してまたその言葉を聞きたくなるシーンが多かったです。

エンドロールになっても、彼のこれからの行く末をずっと見ていたいと思えてくる。

そんな作品でした。絶対もう一回観る映画リストに追加。

「”一瞬を逃すな”って大人は言うけど何でだと思う?」
「人生はそのときそのときの一瞬一瞬が付いて回るものだ」

最後のセリフがとてもよかった。

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